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現場へ向かう途中の車内では、全くと言って良い程会話が無かった。
ただぱりぱりという煎餅を食べる音と、時々紙をめくる音が響くだけだ。
翼は大地に渡された今回の事件に関する警察の資料を読みながら、矢島からの手土産である煎餅を口に運んでいる。
気分が悪くなるような凄惨な事件のデータを、物を食べつつ読むとは。
やはり翼はただ者ではない。
運転席からその様子を横目で見て、大地は改めて実感した。
やがて翼が、何かを思案しているような瞳で資料を閉じる。
「何か分かったのか」
ハンドルを握りながら尋ねると、翼は煎餅を食べる手を止めて頷いた。
「ええ。現場を見てみないとまだ何とも言えませんが。取り敢えず……」
言葉を切り、意味有りげな笑みを大地に向ける。
「比較的早い段階で私を呼んで正解だったでしょうね。さすが矢島さん、迅速な良い判断をなさいます」
「……そして俺は、また報告書を書くのに苦労する運命か」
「いつも思っていたのですけど、ありのままを書いたら駄目なんですか?」
不思議そうに尋ねられて、思わず溜息をつく。
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