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「それよりも、今は頼みたい事がある」

気を取り直して話題を変えると、翼は分かっているというように頷いた。

「とても人間の業とは思えない事件ですものね。すぐに参りましょう」

「現場を見るおつもりか?」

「はい、勿論」

「一応言っておくが、酷いぞ。見ない方が良い」

翼は大地を見上げて苦笑を浮かべる。

「私も見ないで済むのなら、そうしたいですけど。でもそういう訳にも行きませんから」

先程の大地と同じような事を言ってから、肩をすくめて付け加えた。

「それに私は大地さんと出会ってから、色々な現場を見せて頂きましたから。今ならほとんどは大丈夫だと思いますよ」

「……それもそうだな」

最も、出会って間も無い頃に初めて殺人があった現場に連れて行った時でも、彼女は平然としていた。

その様子を間近で見て、外見にそぐわない胆のすわりかたに驚いたものなのだが。

「支度をして来ますから、少しお待ち下さい」

翼はそう言い残して社の中に姿を消し、しばらくしてからワンピースにブーツという格好で颯爽と戻って来た。

「お待たせしました。さあ、行きましょう」

洋服も違和感無く着こなす巫女は、切れ長の瞳を朝日に光らせて大地を促した。





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