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「ああ、あの時ですか。私も覚えていますよ」

翼も思い起こすような微笑を浮かべる。

「あれから、また冬が来て。もう一年なんですね」

「そうだな。何とも印象的な出会いだったが、まさかその後に警察の仕事に協力して頂く事になるとは思わなかった」

「きっとそれだけ、人の手に負えない事が増えているんですね。人でないものが、人の世に干渉し過ぎている。ですから、そろそろ……」

翼はそこで言葉を切り、軽く首を振った。

「食事が冷めてしまいますね。持って来ますからお待ち下さい」

不自然な話の変え方を怪訝に思ったが、大地は追求せずに台所へ向かう翼を見送った。

熱で浮かされているせいか、自分の部屋に翼がいるという状況のせいか。

出会った頃の事を夢で見たせいか。

いつもとは翼が違って見える。

そういえば、いつからだろう。

「お待たせしました」

やがて翼が、小さな土鍋を乗せたお盆を手に戻って来た。

蓋を取ると、湯気と美味しそうな匂いが立ち昇る。

「はい、どうぞ」

一口分をすくった翼は息を吹きかけて冷ましてから、大地の方へと差し出した。

「……いや、あの、自分で……」

慌てて言い掛けたが、構わず更にスプーンが近付けられる。

「大地さん、口を開けて下さい。大丈夫です。きちんと味見しましたから」

どうやら食べない限り引き下がらないようだ。

観念した大地は大人しく食べさせてもらう事にした。

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