03


「何だ、姉さん。俺は今、非常に忙しいんだ」

『もう、つれないわね。あんた、ちゃんと翼ちゃんにお礼したの?散々お世話になったんでしょ。きちんとお礼しないと駄目よ』

「……分かっている」

そう答えてから、意味も無く声を潜めて続ける。

「ちょっと訊きたい事があるんだが」

『あら、なあに?珍しいわね』

こんな事を訊くと物凄くからかわれそうで嫌だったが、背に腹は代えられない。

「女性に贈り物をするには、どんなものが良いと思う?」

暫しの沈黙があった。

『ふうん、成程。あんたも色々考えてるのね。感心感心』

「べ、別に深い意味は無い。ただ、ちょっとお礼にと思って」

『うんうん、そうよね』

千景がにやにやしているのが、電話越しでも分かる。

相談したのを後悔し出した時、姉の声がふと真剣になった。

『でも、中々難しいわね。ブランド物のバッグやアクセサリーを贈ったところで、あまり歓ばないような気もするし。あの娘は難しい相手ねえ』

「やっぱり無難に煎餅セットか……」

『だっ、駄目よ!駄目駄目!よりにもよって煎餅なんて!ロマンの欠片もありはしないわ!』

絶叫気味な相手に、大地は思わず電話を耳から遠ざける。

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