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「お待たせしました」
軽く頭を下げた翼は、力強い光の宿る眼差しで促した。
「行きましょう、大地さん」
「ああ、分かった。アパートの駐車場に車が停めてある」
ヒールのあるブーツで歩く巫女に歩幅を合わせながら尋ねる。
「あの写真で何か分かったのか?俺には何も見えなかったが」
「そうですね。あの写真では分かりづらかったかもしれませんが、実際に見ればすぐに気付くと思いますよ」
翼はそう答えてから、低い声で付け加えた。
「……あんなになるまで気付かなかったなんて。迂闊でした」
「翼さん?」
「いえ、何でもありません」
何処か無理しているような笑顔にそれ以上訊けないまま、アパートの駐車場に停めた車に乗り込む。
問題になっているマンションの場所は、千景から聞いていた。
シートベルトを締め、アクセルを踏み込む。
助手席の翼は、ハンドバッグを膝に乗せて静かにしている。
そういえば、こうして彼女を車に乗せるのも何度目だろう。
こんな関係は、いつまで続くのだろうか。
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Reservoir Amulet2