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人の生の、一時の煌めきは素晴らしい。

その一瞬にこそ、価値がある。

神である永遠よりも、人で在りたい。

そう語った妹の瞳は、自分の居場所を見出した者の力強さに溢れていた。

そうして、妹である月読【つくよみ】は人になり大地で生きる道を選んだ。

自ら人で在る選び、神話の世界から姿を消した。

人に恋し、人に愛され、共に寄り添い生きて。

人の生を全うし、やがて満足そうに散って行った。

その様子を天上から眺めていて。

確かに、羨望を覚えたのだ。

そして、同じように地上を見下ろし降りた神は他にもいた。

月読と呼ばれた神が人となり散った後、確かに一度は平和が訪れた大地で。

時は巡り再び争い荒れるのを憂い、その身に人の心の責を負うと。

そう語って降り立った神。

彼の名は須佐之男【すさのお】、弟神だった。

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