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どうしてこの人は、こんなに名前にこだわるのだろう。
そう思いつつも頷く。
「有り難うございます。そうですね……」
大地は深い色の瞳で、じっと見詰めた。
それから満足そうに唇の端を上げ、口を開く。
「天承翼さん、というのはどうでしょう」
空中に指で字を書きながら続ける。
「神社の読み方を貰って、天承。天の意志を承る翼。どうですか?」
「あ、はい……。素敵だと思います」
「良かった。じゃあこれから、翼さんと呼びますね」
爽やかな笑顔を浮かべて、大地は続ける。
「俺のことも、大地と呼んで下さい。名前を呼び合えたら、それだけで……」
「それだけで?」
「この縁が、すぐには切れないって思えますから」
どうしてそんな事を言うのかは、分からなかったけれど。
笑ってくれたら、何だか嬉しかったから。
ずっとこうしていたいと、願った。
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Reservoir Amulet2