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「そうですか。では天照神社の巫女様、貴女のお名前は?」

「名前……」

戸惑って答えない様子を見て勘違いしたのか、青年が姿勢を正した。

「失礼しました。先に名乗るべきでしたね。俺は大地と申します」

「あ、私は……」

慌てて記憶を辿り、かつて自分が呼ばれた名を思い出そうとするが、全く思い出せない。

たまに会う近くの村の人々にも、いつも巫女様と呼ばれている。

もうどれ程の間、名を呼ばれる事も無く生きて来たのだろう。

「……覚えていなくて」

「覚えていない?」

正直に答えると、大地と名乗った青年が目を瞬いた。

「もう長い間、呼ばれなかったので」

「……そうですか」

大地は不思議そうにしながらも、すぐに気持ちの良い微笑を浮かべた。

「じゃあ、俺が勝手に付けても良いですか?」

「え、ええ。構いませんが」

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