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そしてその一時は、人にとっては何十年という年月は、すぐに流れた。

別れはやって来た。

どんなに嘆き惜しもうと。

一人残して逝く事だけを案じて、彼はいなくなった。

それが哀しくて、哀しくて。

いつしか、心を閉ざして。

人を想う暖かさも、愛した事実さえ忘れる程に。

再び長い長い時は流れた。

しかし、想いは残っていたのだ。

確かに、彼の暖かな心は息衝き巡り続けた。

その強さで、再び出会えた。

『いや、すみません。俺はたまたま通り掛かっただけで』

大切な大切な、愛しい人と。

忘れてしまっていても、魂に刻まれた想いは消えない。

だから気付かない間に、種が芽吹くように。

惹かれていた。

ようやく分かった。

長い間忘れてしまっていた、大切なもの。

知っていたのか持っていたのかさえ曖昧になってしまって。

自分がいる意味さえも無くなってしまった、時の呪縛を解いて。

側にいたいから、もっと側にいたいから。

かつては思念に負けてしまった想いの力を信じる。

贖いを終わらせ、還って来る。

もう、いなくなっていいなんて思わない。

還って来る。

待っていてくれる、貴方の元へ。





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