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まるで捨てられる直前の子犬のような瞳を向けられ、大地が財布を取り出す。
「分かった。俺が出してやる」
「わーい、有り難う!大地さん、大好きです!」
「……男から告白されてもな」
由貴と大地の様子を眺め、敦が呟く。
「弟の面倒を見る兄……」
「大地さんは困っている人を見ると放っておけない、優しい人ですからね」
その声音にこれまでと違う感情が混ざった気がして、敦は巫女の横顔を見た。
とても優しそうな、寂しそうな。
微笑を浮かべる横顔は、まるで。
その時、大地が敦に話し掛けて来た。
「敦さんはどうする?おみくじを引くなら、俺が払うが」
「え?あ、有り難うございます」
「よし。じゃあ翼さん、四回分だ」
「四回分ですか?」
手渡されたお金を見て、翼は不思議そうな顔をする。
「由貴さんに敦さんに大地さん。三回分で良いですよ?」
「いや、後一回。貴女の分だ」
「え?私もですか」
「ああ。一人だけ引かないのはつまらないだろう?」
当然のごとく返されて、巫女は一瞬息を飲んでから微笑む。
「そうですね。では、私も一緒に引かせて頂きます」
「よーし、気合い入れて引くぞー!吉兆吉相吉祥ー!」
「おみくじにその掛け声は必要なのか!?」
ささやかな事が、この上無い楽しみになる。
それが、いつも君の日常。
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