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咲き誇っていた桜も散り、今は鮮やかな緑が庭を染めている。

そんな宮中の最も奥まった場所に、この豊葦原【とよあしはら】を統べる帝の部屋がある。

そして、そのすぐ隣の部屋に帝が寵愛する姫がいた。

この二人は、近く祝言を挙げる事になっている。

何ともめでたい事であり、宮中全体が華やいだ雰囲気に包まれているのだが。

「……はあ」

その姫、輝夜【かぐや】は重たい上着を脱ぎながら溜息をついた。 

「うーむ、これも駄目ですか」

「全くあの男は。我儘にも程がある」

部屋中に広げられた豪華な衣装の数々を見回し、帝の側近である角鹿【つぬが】がうなる。

「妙ですね。あの人ならば衣など何でも良いと言うかと思ったのですが」

「大事な婚礼だ。さすがにそうも行かないのだろう」

精悍な顔つきの男、扶鋤【たすき】が腕組みをして言った。

彼は本来ならば宮から離れた場所で役目を果たす者だが、近付く祝言の為に今は宮中に滞在していた。

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