05


「輝夜?」

訝しげに名を呼ばれ、はっと顔を上げる。

「どうかしましたか?」

「いえ、何でもないわ。とにかく、此処を片付けないとならないわね」

「それは我々がやりましょう。貴女は気分転換に散歩でもして来ては如何です?」

「え?」

唐突な提案に戸惑いがちに見返すと、扶鋤も微笑んだ。

「最近ずっと祝言の準備で疲れただろう。息抜きに行って来ると良い」

「……ええ。有り難う」

二人の気遣いに感謝しながら立ち上がる。

庭に出ると、それだけで気持ちが軽くなるように思えた。

「でも、困ったわ。あの様子では、飛龍はしばらく帰って来ないだろうし」 

このままでは、婚礼衣装が決まらない。

どんな衣装なら、飛龍が歓んでくれるのだろう。

そこまで考えて、ふと顔を上げる。

先日届けられた文【ふみ】の事を思い出したからだ。

以前妙な縁で出会った、大切な友人からの文。

彼女なら、良い助言をくれるかもしれない。

今度は自分から、会いに行ってみよう。

時も世界も意に介さずに。

繋ぎ合えた縁のままに。





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Reservoir Amulet2