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ふわふわとした純白のドレスとヴェールを纏っていると、心まで白くなれそうで。

まるで、この世に生まれた時のように。

自分の知らないその時が、貴方の元へと。

部屋で一人、飛龍の帰りを待っていると、やがて足音が聞こえた。

それだけで、あの人が帰って来たと分かる。

「今戻ったぞ」

「お帰りなさい、飛龍」

予想通り、御簾を上げて飛龍が帰りを告げた。

そして、こちらを見て立ち尽くす。

彼としては珍しい驚きが、その顔に浮かんだ。

「……何だ、その格好は」

やがて、思い切り怪訝そうに飛龍が言う。

「ウエディングドレスよ。紗貴さん達の世界の婚礼衣装なんですって」

「婚礼の?」

繰り返した飛龍は眉をひそめた。

「恐ろしくひらひらでごてごてした衣だな。大体、この広がった裾は何だ。うっかり踏んづけて、転びでもしたらどうする」

「わ、分かってるわよ!」

全く、この人は自分のことをどう思っているのだろう。

うっかり褒め言葉の一つでも期待した自分を呪いたい。

視線から外れるように顔を背けて告げる。

「これも似合わないのよね。すぐに着替えるから出て行って」

思った以上に尖った口調になってしまった。

怒っているのか悲しいのか自分でも分からなくて、涙が出そうになる。

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