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「……!?」

やはり静嵐は、硬直したまま微動だにしない。

驚きと混乱だけが、その表情から読み取れる。

何だか反応が変だ。

そう思いながらも湧碕お薦めのナースやタクシードライバーにバスガイドと次々に着てみたが、やはり静嵐の反応は変わらない。

「…………」

暫し何も言わずに立ち尽くした後、ようやく口を開く。  

「……風呂、入って来る」

そう言い残し、ふらふらと浴室へ行ってしまった。

これではまずかったのだろうか。

自分の格好を見下ろし、溜息をつく。

彼の言葉に込められた願いを、出来るなら叶えてあげたかったけれど。

「あ……」

不意に、前に手紙をくれた一人の少女のことを思い出す。

彼女には恋人もいるし、もしかしたら何か分かるかもしれない。

もう夜遅いけれど、幸い。

世界の境界線を越えるなら、時間など気にしなくても大丈夫だから。

会いに行こう。

いつも文字で読む、彼女の元へ。

幻想が現実に変わる、その狭間を抜けて。





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