満たされる毎日

地味だって言われても、ミントンしか見てなくても、副長さんに怒られていても、たまに見せるおとぼけ顔も、あんぱんかじってる時も、退くんはいつでもカッコイイ。
僕はいつも退くんをこんなに見つめているのにあんまり目が合ったことがなくて、そんな鈍感さんなところはかわいいなあ。
でも、僕もすこしシャイで話しかける勇気がないから、たまに退くんに話しかけられた日はしあわせで満たされてしまう。
なかなか話しかけられない僕へこんなに優しくしてくれるなんて、退くんも僕のこと好きだったらいいなぁ。
退くんがニコニコしていると僕も嬉しいし、退くんが悲しい顔をしていれば僕もしょんぼりするし、つまり退くんが僕のすべて。
今日も退くんと一緒に生きれますように!


「……どうしたものか」

あの子はいつも俺のことを見ている。
買い出しに来たコンビニの向かいの棚や、ちょっと寄った団子屋の奥の席はもちろん、今日はたばこ屋のすみに立っているね。君はどこでもいるねぇ。
あまりにも怪しいから桂の仲間か?なぁんて思って、気づかれないように調べてみたけど一般人で。
むしろ一般人でこの行動力って何者って感じなんだけど、たまにぼそぼそとなにかをつぶやいているしどうみても完全にやばい奴だ。
そんなこんなで、俺は真選組で監察なのにいわゆるストーカーがついてしまった。
今日こそ彼がストーカーを辞めてくれますように!


そろそろ退くんが副長さんのマヨボロを買いに来るかなぁと思って、タバコ屋のすみっこで隠れながらスタンバっていたら、案の定、退くんが来た。
今日は非番のようでお休みの日までパシってる退くん本当やさしいな〜って思ってたら何故か僕のいる方に来てしまった。

「君、ちょっといいかな」
「ッ……!?」

退くんは少し困った顔をしながら、僕のことをジッと見つめて「お話がしたい」と告げた。
それって!それって!それって!!!!!
僕のことをもっと知りたいってこと!!!!!急展開すぎるよ退くん!!!!!
こんな路地じゃ絶対落ち着いて話せないし何よりこれは夢なのかうんうんうなりながらも、精一杯声を出して退くんに提案する。

「ここじゃなんですから、僕の家に来ますか…?」
 
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はじめ