遊ばないでください

朝風呂を終えて部屋に戻る途中、沖田隊長とすれ違う。

「みょうじと会ったかィ」
「はい、保護したって副長から聞いて…あの、なまえくんが何でここにいるのか教えて欲しいんですが」
「あいつからまだ聞いてねーのかよ。ったく、ナニしてたんだか」
「はは、ごもっともで…」

まさか昨日のアレを聞かれてしまったのか。
いつもよりもむすっとした表情からは何を考えているのか分からず、次の言葉を待っていると隊長の部屋へ引っ張りこまれた。
たしかに廊下じゃ避けたほうがいい話題だ、隊長なりの気遣いに感謝してそのまま話を続ける。


毎日のように好意を寄せた手紙と、自分だけが写った写真が届くだけ。
だから、誰にも言わずにいたようだけど今回、俺がいない間に接触してきたらしく、通りがかった沖田さんが助けて保護に至る、と。
そして刃物を持っていたという言葉に背筋が凍る。
仕事柄慣れているものだけれど、なまえくんにそれが向けられたという事実は特に許せなかった。

「しっかし、みょうじも大概だぜ。ここまでされても全然怖がる様子もねぇ」
「……なまえくん体がすごく細くなってて、多分ほとんどご飯も食べずに外も出てないと思うんです。本当は怖かったはずですよ」
「ここに来てからもろくに飯食いやしなかったな。じゃああれかィ、自分とやってることが同じだから怒れないってところか」
「全部否定できないのは悔しいですけど。屯所にもたまになまえくんから手紙届いてますもんね」
「手紙と言やぁ、新しいやつ届いて……って間違えやした」

手元にあったのは1枚の写真だった。
それは浴衣のはだけたなまえくんに覆いかぶさったまま、キス寸前の距離で自撮りをしている沖田隊長の姿で……?

「なんですかコレェエエエ?!」
「見られちまったならしょうがねぇ。おめーの布団で寝取るのは燃えたぜ」
「寝取…?!いや隊長が見せてきたんですけど!!しかもあれ俺の布団だったの?ちょっと待ってどういうこと?」

どこまで本気かわからないが、頭が混乱してきた。
絶対たちの悪いいたずらだ。
よくも俺のなまえくんで遊んでくれたな。

「あ〜新しい手紙は調書と一緒に保管してあるんだったな、うっかりしてたぜ。まっ、後で読んどきなせェ」
「すごい棒読みなんですけど。絶対最初からあの写真見せる気でしたよね」
「ちなみにここにいる間の世話も俺がしといてやったぜ。風呂から便所まで何からナニまでな」
「そりゃどうもありがとうございました!今日からは俺が面倒みますんで!」


ピシャリ、と障子をしめる。
沖田隊長とのやりとりにふらつきながらも、部屋へと戻ると当の本人はまだすやすやと眠っている。
久しぶりに会えたっていう嬉しさは思っていたよりも大きくって、頬をゆるませながら隣に寝転がってなまえくんのほっぺたに手を添えた。
俺がいない間ずっとこの布団で寝てたんだよなぁ、可愛すぎてまいっちゃうよ。
あ、もしかして俺の部屋はいったのかな…うわ、やっぱりいろいろ聞きたいことがありすぎる。

「ん……、退くん…?」

しまった、起こしてしまった!
なまえくんは薄く目を開けてこちらを向いた。

「一緒に、ねよ…」

ねぼすけさんだなぁ、まったく。
布団をめくって一緒に寝ようとすると、気崩れた浴衣が目に入る。
そういう無防備なとこだぞ、とかいいながらも手は勝手に浴衣のなかへもぐりこんでしまう。
朝っぱらからどうかと思うけど一度膨れ上がった性欲は簡単には収まらない。

「ん、ぅ……きもちぃ…っあ」
「それはお誘いかなぁ」
「っあ、ん、さがるく…っ、……っや!だめっ!」

体を撫でていた手を抑えられてしまい、沖田隊長に言われたことが頭をよぎる。
なんで嫌がるんだ、やっぱりやましい事が…?いやいやそんなわけない。
なまえくんのご機嫌をとろうと、たくさんキスをしながらおねだりしてみる。

「こんな姿見せておいて、おあずけはひどいなぁ」
「ちがっ、そうじゃなくて…!」
「なまえくんに触りたい。だめ?」
「……っ後ろ見てよ、退くん!」

隙間からこちらをのぞく人達と、目が合う。
目が…合う……?

「おおおお前ら!何勝手に見てんだ!」
「な、言った通りだろ。朝からお盛んなんでさァ」
「おっぱじめてるっつーから来たらマジだったわ」
「気にせず続けてくれよ山崎」
「おあずけしなくていいぞ〜」
「久しぶりに帰ってきたんだから邪魔すんな!あっちいけ!」

ケラケラ笑いながらも素直に退散していく沖田隊長と同僚の姿、同時に性欲も吹っ飛んでいってしまった。
くっそ〜!邪魔しやがってあいつら!絶対に覚えとけよ!
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はじめ