「ことは一刻を争う、ねぇ……」
 7年前のあの日、世界を支配していた世界帝府は貴銃士を率いたレジスタンスに打ち破られた。記憶に新しい出来事だが人々にとっては遠い出来事のようになりかけている。
 しかし、近年になり再び貴銃士の力が必要となり、当時メディックとして、また貴銃士のマスターとして戦場に立っていた私に召集がかかった。
 革命戦争終結後、私はマスターとしての力を手放し、今後一切の関わりを断つという契約をしていたのにも関わらずだ。実は、この契約には見逃してはいけない穴がある。
 もし、今後此度のような災害が起きた場合には可能な限り助力し本項を優先。

 つまり、今は

「恭遠・グランバードさんと面会の約束をしている苗字名前というものです」
「少々お待ちください」と警備員のおじさんが分厚い冊子をぱらぱらとめくり、あるページで止め傍にある固定電話の受話器を手に取った。二、三言話すと、受話器を置いて入館許可証のようなものを差し出した。
「お待ちしておりました。面会室まで案内いたします」
「お願いします」
 鉄柵がゆっくりと動き、人一人通ることが出来る空間ができた。警備員のおじさんのあとを着いていきながら周囲を見廻す。不審者だと思われてしまうかもしれないが見逃してほしい。
 自分がマスターとして世界帝軍と戦っていたときには確立していなかった士官学校。世界帝府から解放された後、協力し合うことが重視される世の中となり、国連軍は多国籍軍のような形をとり、国際連合に所属する国は独自の軍隊を持たず国連軍に任せる形。
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