はじまりは突然で

どうやら私は二度目の人生を送り始めたらしい。

そう気づいたのは生後半年の頃だった。前世はどう生きていたのか、何をしていたのか、全く思い出せない。そもそも私の前世は人間だったのかそうでなかったのかすら危うい。

この世界で私を優しげに見つめてくる人がいた。この超絶美人はなんと実の母。顔面偏差値が高すぎるせいで不意打ちで近づかれると泣きかけるレベル。

忘れた頃に現れるイケメンは父。自信家らしく言動がうざい。彼はどうやらプロ野球選手らしい。……お金に困ることはないだろう。そう思ってしまうのは欲に塗れている証拠だろうか。今はよく見えないけどこの家も豪邸に違いない。くわばらくわばら。

ただ……父が相当な野球バカなのか、私のオモチャは野球バットを模したガラガラと野球ボール。いや、軟式とはいえ赤ん坊の枕元に常に置くなよ…私女の子だぞ…。

ちなみにオムツを替えてもらう事や沐浴などの恥はもう慣れた。人間の慣れって怖い。

たまーに私の視界に映るのは父だけではない。従姉妹の女の子二人組とそのご両親、祖父母などなど。

従姉妹たちは小学校一年生と二年生。少し煩いのが玉に傷だがよく面倒を見てくれる。まあ…私を取り合って喧嘩もよくしているけれど。「眞白ちゃん」「眞白ちゃん」と美人姉妹からチヤホヤされるのだから悪い気はしない。

二人は必死に言葉を覚えさせようとしてくれた。その結果、初めて口から出た言葉は「ねーちゃ」。母は微笑ましそうにしてたけど、父はとんでもなくショックを受けてた。ごめんねパパ。


そんな私もすくすくと育ち、とてつもなく可愛い一歳児になった。自分で言うのもどうかと思うけど本当なのだから仕方ない。

丁度その頃、新たな従兄弟が誕生した。名前はめいちゃん。可愛い可愛い男の子だ。

めいちゃんはよく泣く子でいつも隣に寝かされる私にとって溜まったもんじゃない。泣きやませようとするが、所詮私も一歳児。ぽんぽんと寝かしつけようとしたのに顔面からめいちゃんにダイブしてしまう始末。いやはや情けない。

ここ最近はめいちゃんと私、セットで従姉妹二人組の着せ替え人形にさせられる事が多かった。

「かわいいー!」
「鳴!眞白ちゃん!こっち向いて!」

パシャパシャ写真を撮りまくる従姉妹達に隠れてお父さんも撮ってるの、ちゃんと気づいてるからね?隠れられてないからね?

私は女の子だから可愛い格好させられても問題ない。けれどめいちゃんはいくら外見が可愛くても男の子。将来のトラウマにならなければいいけど…。

そんな私の心配はただの杞憂に終わるのだが、この時は知る由もない。