いじめっ子の心理

小学校に入学すると、テツ君は前ほど私にべったりではなくなった。第二の母の気持ちでいたせいか本音を言うと少し寂しい。

かく言う私も要領よく友達を沢山作ることができた。男の子にはよく虐められるけど私が可愛いせいだから仕方ない。好きな子には意地悪したくなるよね、分かるよ。
それに女の子達が妙な正義感を出して庇ってくれる。別に有難くも何ともないけどそれで彼女達の結束力や絆が強まるのを見ているとそれも無駄ではないのだろう。

従兄弟のめいちゃんは年長さんになり、ますます生意気さに磨きがかかった。手に負えないほどではないから毎回目をつぶってしまう私にも非があるのは自覚している。

小学生になると幼稚園よりだいぶ世界が広がり、見聞が広まってくる。テツ君の話し方もだいぶ男らしくなったし、一人称も「オレ」と言うようになってしまった。

あと幼稚園では怖いと評判だったあの目つき。小学校に入ると、カッコいいと評判になり彼はモテモテに。その一因として足が速かった事もあるだろうけど。

テツ君とは家が近所であるため、お互いの母親から頼まれ登下校は共に行くことになっていた。きっとこの習慣も高学年になったらなくなってしまうんだろうな…お母さん悲しい…お母さんじゃないけれど。

他愛もない会話をしながらゆっくり歩いて帰る。私はそんな道中が一番の癒しだった。

「今日の給食、シロの好きなアロエヨーグルト出たな」
「ねー、学校のやつはアロエが大きくて好き」
「同じクラスだったらシロにあげれた…」
「いいよ別にーテツ君が食べてくれた方が私も嬉しいし」
「でも…」
「じゃあ来年同じクラスになったら先生にバレないように交換こしよ?テツ君が好きなおかかのやつあげるから」

テツ君はコクリと頷く。かわいいなあ。

その時、私たちの横を男の子数人が駆け抜けて行った。彼らは目の前に立ち塞がるとニヤニヤとした目つきでこちらを見てくる。たしかこの子達はテツ君のクラスメイトだったはず。

「お前らいっつも一緒に帰ってるよなー」
「付き合ってんのー?」
「キスしろよ!キース!」

瞬きを一つ。最近の小学生って女の子に限らず男の子もマセてるなあ。
隣のテツ君が言い返しそうになったのをやんわり止めて一歩前に出る。

「あー、君達羨ましいんでしょ?僻む男はモテないよー?」
「別にひがんでねーし!」
「あっそう、折角私がキスしてあげようと思ったのに」
「「「えっ…」」」

この子達が私に気があるのはなんとなく気がついた。それで私たちに突っかかってきたのだろう。それを逆手に取れば案の定、顔を真っ赤にさせてしまうのだからまだまだ小学生なんてちょろいもんである。

「ほら行こ」とテツ君の手を引っ張り少年たちの間を縫って歩き始める。少し歩いた所で後ろから「キスとかキモいんだよ!」「別にいらねーし!」と叫ぶ声が聞こえたがそれはそれで可愛いもんだ。

その後彼らは私たちに突っかかってくることはなくなった。まあ私が美少女だから仕方ない!美少女だから!