decipherer


Romeo Juliet Victor Bravo! 26の文字が飛び交う中、運命の宝石をいただきに参上する

そう綴られた下にはスペードの2のトランプが真っ二つにされた絵がプリントされている。最後にはもちろん、お決まりのマークと共にバ怪盗の名も刻まれていた。

目を通し終え、コピーした予告状を持ち主に返す。

「ありがと。この運命の宝石って何?」
「舞台のために用意したスター・サファイアの事らしい」
「なるほどねえ」
「で、天音、もったいぶらずに教えろよ」

そう言ったコナンは言葉だけでなく、目でも早くと急かしている様な眼差しで僕を見た。
急かす彼の気持ちも分かる。ただの好奇心というのも否めないけど、大方これから観る公演に行く前、しかも子供たちを迎えに行く前に暗号の内容を把握しておきたいのだろう。
今はコナンだけがジョゼフィーヌの公演に僕らを誘うために博士の家に来ている上、急にコナンが「パラグライダーを用意してくれ」なんて言いだしたので博士が手配している間の時間は暇を持て余している。聞くなら今が絶好のチャンスと思ったに違いない。

「ある程度解けたけど確実性がないから言いたくない」
「へえ…珍しい事もあるんだな」

目を丸くするコナンに対し、一体僕をどんな超人だと思ってんだと小さく悪態をつく。

「じゃあ、このトランプの意味も分からないってこと?」
「わっ!灰原!」

横から延びて来た指がコナンの手元を示した。指の持ち主は哀。

「2が割れているから2で割り切れる偶数、あるいは2を無理やり真っ二つにしていると捉えたら2で割り切れない奇数という二つの可能性があるけど、キッドの暗号パターンからしての後者かな」
「へぇ…さすがキッドの暗号愛読者ね」

なにそれ。たしかにバ怪盗の暗号は難解で面白いと思うけど別に愛読はしてないし、そもそもそんな呼び方されるのは心外だ。

反論しようと口を開いたその時、玄関の方から「準備できたぞー!」と博士の声が聞こえた。
僕は舌打ちをした後「ばっかじゃないの」と哀に向かって言う事しかできなかった。

その後コナンと別れ、僕らは博士の愛車で少年探偵団の家を回り、子供たちを回収。
子供たちは綺麗な舞台が観られる事に興奮していたが、彼らが長い舞台の間集中して観ていられるのか甚だ疑問だ。

ふと目が合った歩美ちゃんははにかみながら「楽しみだね!ルオンくん!」なんて言うものだから、あいまいに頷いた。その様をドアミラー越しに見ていた哀が馬鹿にした笑みを浮かべていたのを僕は見逃さなかった。