視線で言葉を投げ合って

title by spiritus





「ミシェイル、」

 言葉を並べる前に口を塞がれる。息苦しくて肩を押す。
 少し離れて覗いたその瞳には情欲が宿っていて、ぞくりと肌が粟立った。

「ねえ、好き」

 急くように言葉にする。
 返事はないけれど満足だった。この口づけの仕方は肯定だ。






 眠りに落ちる直前、隣に居る彼に手を伸ばす。

「ねえ」

 返事はない。返ってくるのは眠たげな視線。

「すきって言って」

 今、今になって思い返せば、一度も確たる証拠を残したことがない。目に見えるのはこの首元に残された赤い痕だけ。
 だから欲しい。その言葉、たった一言だけでいいのに。

「……、」

 頭を掴んで引き寄せられる。引力で唇が触れ合う。
 音を立てて離れた後、彼はもう完全に目を閉じていた。
 その問いには決して答えない、そう言っているように見えた。

「……ばか」

 何故拒否できないのだろう。もし自分が女だったら、女友達に相談したら、「そんな男やめた方がいいよー」って、絶対に笑い飛ばされるだろう。
 身体だけだってどうして思えるだろうか。自分はこんなに好きなのに。

「すきって言えよ」

 それだけでこの渇いた心は満たされるのに。