夜におぼれて眠ったあと。わけもわからないまま何度かしたような気がする、と、起き抜けの頭で思って、枕に頭を叩きつけた。枕は柔らかくわたしの頭を支えてくれたけど、冷たい布の感触がわたしの頬の熱をありありと伝えてくる。体が重い。ふと見れば、わたしは至のであろう黒いTシャツを着ていた。横にいる至は、むき出しの腕でわたしを囲って、すやすやと眠っている。上着てないし。ごそごそと動いて床に目をやると、わたしのジーンズが気持ち畳まれて置いてあった。あれ、洗って下ろしたばっかりだったのに。ベッドの上、横になったままみても皺になっているそれはどうしたって昨日の行為を彷彿とさせて、どうしようもなくため息をついた。

 至のスマホに腕を伸ばすとなんとか届く。寝てるし、抱き締められてるし、AP消費しておいてやろう。スマホのロックをするりと外して、やり方のわかるゲームアプリを立ち上げる。AP溢れてんじゃん、と思うその思考は、随分と至にやられてしまっているなあ、と思う。イベント中らしいからとりあえずそこをタップして、イベ用、と編成されたなんちゃらを選んで。あとは作業ゲーらしいから放っとけばオッケー。わたしなんてできすぎた彼女。スマホを元のところへ戻して、至に向き直る。

「(……子供みたい)」

 あどけない寝顔。伏せられた睫毛をくすぐるようにいじっても、至は身動ぎもせず寝息を立てたまま。髪の毛を指に巻き付けてみたり、筋ばった首筋を撫でてみる。キレーなかおしやがって、と思ってまじまじと見つめていると、また昨日の行為の残像がぶり返して恥ずかしくなった。ひとりで不機嫌になって尖る口先で、そっと高い鼻にキスをした。ら。ぱちりと迷いなく開いた瞼の中の瞳としっかり視線が絡んだ。

「あれ、おはよう」
「……なにしてんの」
「至で遊んでた」
「は〜?かわいい」

 巻き付いていた腕に力が入って、むき出しの胸板にぎゅうと押し付けられる。首筋に甘えるように鼻先を擦り付けられるのがくすぐったくて押し返したけどびくともしなかった。体力ないし筋肉もないって自称してる至なのに、そんな至にすら適わないのかあ、って思ってしまう。

「あ〜周回……」
「イベント中って言ってたやついじっちゃった」
「マジか」

 至がひょいとスマホを取り上げてアプリを開くと、すでに開かれていた画面が表示される。うわ、マジだ、と呟いたあと、数回のタップのあとまたスマホは真っ暗になって、ぽいと至の手から捨てられた。

「俺の彼女神すぎ」

 そうしてまた、ぎゅう、と肌同士を押し潰すみたいに抱きしめられる。ありがとー、と頭をぐりぐりされて、髪の毛がくすぐったくて必死に引き剥がした。不機嫌を露呈させて唇を尖らせた至を宥めるように口を合わせたら、すぐご機嫌になった。

「もっかいしたい」
「かんべんして」