泣き虫少女と久道親子

普通の生活を送っていたとは言えないが、そんな生活が先日かかってきた一本の電話によって変わることになった。

久遠道也と名乗る男の人から、明日の午後に雷門中のグラウンドに来てほしい、と言われそういえば幼なじみが「サッカーで世界へいけるかもしれない!明日試合をする!」と言っていたので、それが関係してるかもしれない。


「真雪?そろそろ時間じゃないの?」


お母さんに言われ時計を見ると丁度正午だった。











サングラスをつけて帽子を被り少し駆け足で雷門中へ行けば、なんだかガヤガヤしていたのでおもわず電柱に隠れてしまった。ゆっくり歩いてグラウンドへ行くと、数人がサッカーをしていてその中には幼なじみもいた。

少し離れた木陰で試合を見てると、肩をぽんっと叩かれて大袈裟なほどビクッとしてしまった。


「あ、急にごめんなさい」

『あの、ぅ、え?』

「白露真雪さんですよね?」

『は、はい』

「私は久遠冬花。よろしくお願いします」

『こ、こちらこそ』


着いてきてと言われたので後ろを追うように着いていくと、私が見ていた場所の離れたところ、校舎の玄関前に男の人が立っていた。


「お父さん、連れてきたよ」

「…白露真雪だな。試合が終わるまで待て」


こんなに怖い人見るの初めて。目が訴えてる、話しかけるなって。

試合が終了すると選手たちはグラウンドに倒れ込んでいた。観客席に座っていた人たちは帰らされて、みなさんが帰ると久遠さん親子と一緒にグラウンドに降りた。

選手たちが改まって並び、その前に久遠さんと年老いた男の人、響さんが立つ。私は冬花さんの隣で立っていた。
監督は久遠さんだと告げるとみなさん驚いていた。何故かは私にはわからない。

世界代表の名前が呼ばれた人は喜んでいたけど、残りの六人は悔しそうだった。しかしそれよりも選ばれた人に思いを告げるように言葉を残していた。


「おまえたちは今日から日本代表イナズマジャパンだ。選ばれた者は選ばれなかった者の思いを背負うのだ」

「「「はい!」」」


響さんは伝えると去っていってしまった。


「いいか、世界への道は険しいぞ。覚悟はいいか」

「「「はい!!」」」


そして久遠さんは冬花さんを連れて合宿所の方に歩いて行った。放っておかれるわけにもいかないので私もついていった。

合宿所に入って久遠さんが座った席の前に座った。冬花さんは久遠さんの横に。


「白露を呼んだのは私と響さんだ」

『えっと、ど、どうしてですか?』

「率直に答えるとおまえの目だ」

『……………』


正直ドキッとした。どこで知ったのかわからないけど私の"目"は特別だった。


「イナズマジャパンをサポートしてもらいたいのだ」

『え、でも、私…』

「…仕事か」


そう、仕事。私は中学生になると同時に女優になった、と言っても新人。でも自分で言うと自慢してるみたいだけど、幼なじみが言っていたし世間では知れ渡っていると思う。

でも世界の舞台でするサッカーを目の前で見てみたい。


『…お、お仕事優先でもいいですか?』

「もちろんだ。やってくれるか?」

『マネージャーと相談してみます』


マネージャーはなんだかんだで私に結構甘い。そしてサッカーが大好きなので電話で聞くと、即オッケーとの返事が来た。それを伝えれば明日からよろしく頼むと言われ少し緊張してきた。


「明日から頑張りましょうね」

『はい。あと、敬語はいいです、よ?』

「わかった。じゃあ、頑張ろうね」

『よろしくお願いします』


用意されていた自分の部屋に行くと、私の荷物があったのでびっくりした。どうやらお母さんはすべて知っていたようです。