さようなら、そしてこんにちは
「妃鞠…っ!!」チームメイトの声、迫り来る大型のトラック。ゆっくりに感じるそれは、実際は一瞬のことで。
身体に走る衝撃、周りの悲鳴、チームメイトが私の名前を呼ぶ、腕に抱えていたボールが赤い中に転がる
子供の頃から今までの記憶が頭の中に鮮明に流れてくる。これが走馬灯なんだ。
家族との何気ない日常、学校での居眠りや友達とのお喋り、テスト後の放課後はファーストフードなんかに行って、そして何よりも強い思い出はやっぱり、サッカー。
優勝に導きたかった、勝って喜びを感じたかった、沢山の人にサッカーを伝えたかった。
そして、もっとみんなと一緒に、プレーしたかった。
___ 速報です。今日、午後2時頃名字妃鞠さんが5歳の少女を庇い、居眠り運転をしていた大型トラックにはねられ意識不明の重体に。すぐに病院に運ばれましたが、まもなく息を引き取ったそうです。尚、5歳の少女は軽症で、病院で治療中とのことです
__ああ、私、死んだの
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転生、という言葉を聞いたことがあるだろうか。
死後の世界から、再び肉体を得て、生まれ変わる事。つまり、私たちが今生きている人は皆、元々誰かであって、再び生を受けてこの世界に存在しているのだ。
転生というのは誰しも本当に経験があるかと問われると、肯定するのは難しい。皆記憶がないからだ。
よって、人は生まれた瞬間から過去に囚われることなく、新しい人生を歩む。
はずなんだけど、
『なに、ここ…』
何度も嗅いだ事がある畳の匂い。そこに敷かれている布団。そこに寝ているのは、さっき目を覚ました私だ。
もしかしたら、あれは悪い夢だったのかもしれない。予知夢か何かで、外に出るときは青信号でも気をつけて、トラックに気をつけろ、と神様が予知をしてくれたのかも。
そんなわけ分からない事を考えてしまい、布団をめくり自分の体を確認すると、傷一つ見当たらない普通の体と少しの違和感。
やっぱり、夢だったのかな、なんて思っていたけど、それならここはどこなのか。少なくとも私の記憶にはないところだ。
「どうしよ…」
ポツリ、思わず口から不安が溢れた。
その瞬間、応えるように襖が開き、そこに立っている人物に目が奪われた。
だって見覚えがある。幼い頃に何度も何度も画面越しで見た。私がサッカーを始めた理由なんだから。
なら、ここは…
「目が覚めたか」
超次元サッカー、イナズマイレブンの世界なのだろうか。
