術式編 /後編
学長に説明し終えた後、五条と真実は夏油たちのいた廊下に戻った。
まだ喧嘩しているかと思いきや、そこには仲良さげに談笑する2人の姿がある。
「ああ、真実。悟と一緒に逃げるから驚いたよ。説明は終わったのかい?」
「うん。叩かれたけど。真人くんと仲良くなったの?」
「ああ、まあね」
「夏油、本貸してくれるんだって。俺色々読んでみたかったんだよね」
「へー、よかったね! 傑ありがと!」
「いや、本くらい構わないよ。……悟、その顔は何だい?」
「媚びてんな〜と思って」
「的外れなことを言わないでくれ」
「えーだって呪霊とはいえ男に自分の女取られたら嫌でしょ? 仲良くするとか器の大きさアピールじゃん」
「表に出ようか」
「1人で行けよ」
「真実、今のうちに行こう」
喧嘩してるな〜と眺めていた真実を真人が誘い、その場から離脱する。
「高専って他にも呪術師いるの?」
「いるよ。まだ学生だけどね」
「真実のお気に入りは?」
「生徒に対してそういうのは特にないかなー」
「なーんだ、からかってやろうと思ってたのに。夏油みたいにさ」
「もー、初対面の人で遊んじゃだめだよ。人間の群れにはね、とりあえずニコニコして刺激せず馴染んどけば多少好き勝手しても大丈夫だから」
「人間らしくないこと言うね。でも夏油はお気に入りなんでしょ?」
「お気に入りっていうか、まあ恋人だからね」
「ああいうのが"タイプ"ってやつなの?」
「いや、私はタレ目の男がタイプだよ」
「俺じゃん!」
「うんうん、真人くんの顔良いよね」
「不倫する?」
「しないよ、傑怒ると怖いもん。っていうかどこで覚えたのそんな言葉」
「落ちてた本で読んだんだ。主人公は配達員なんだけど、よく配達に行く団地に住んでる女のことが好きで、毎回旦那のいないときに――」
「官能小説じゃん。真人くんの教育に悪い、真人くんにはまだ早い」
「"母親ヅラすんなよババア!"、だっけ?」
「反抗期の息子! って、着いた着いた。このへんの教室は学生が使ってるから、普段は勝手に入っちゃだめだからね。他のとこはまあ追々説明するけど、任務以外のときは基本私の部屋にいてほしいかなー」
「いいよ。真実の部屋って本ある? あと映画も見たいんだけど」
「本はあんまないから買ってあげる。映画見るならテレビ使っていいし、パソコンとか使い方教えるよ」
「いやあ、俺を取り込んだのが真実で良かったよ」
真実と真人が話していると、その声を聞いていた1年生たちが教室から出てきた。
「真実先生さっきから誰と喋ってんのよ?」
「あ、野薔薇。えっとね――」
「俺は真実の彼氏だよ」
「えっ、夏油先生は!? 別れたん!?」
「っていうかそれ、呪霊ですよね。さっきのアラートの原因ですか?」
「いや、嘘だからね。真人くんもふざけないの。――真人くんは私は任務先で取り込んできた特級呪霊だよ。私と同じ術式持ってたから仲良くなっちゃって。アラートはね、不注意」
「呪霊と仲良くって、真実先生、やっぱ色々イカレてるわ……」
「真実ーこいつら弱そう。殺していい?」
「だめだってば」
「あ!? んだとコラ表出ろや!」
「うわっ、釘崎がキレた! でも今のは俺もムカついたわ」
「あーもう収拾つかなくなってきた」
「深山先生、諦めないでください。俺らも状況よくわかってないんで」