正体露見
翌日。
秀聞社で行われる亜蘭のインタビューに、俺は"軌雅高校新聞部部長"として同行することになった。
こうなった経緯を要約すると……亜蘭の方から同行の許可を取ろうと提案してくれたからだった。
昨日、この取材を話を聞いた俺たちは、下津名の情報を探るべくなんとかして秀聞社に乗り込めないかと考えていた。その相談話を聞いていた亜蘭が協力を申し出てくれたのだ。
何故そこまでしてくれたのかは疑問だが……本当のことは説明できない。ただ、"メディアの裏を覗いてみたい"という単純な興味には、亜蘭も理解を示してくれた。
そして放課後。
さっそく亜蘭と亜蘭の担当さんと共に秀聞社を訪れると、案外気さくな編集者さんに促され、インタビューは滞りなく終わった。
「本日はありがとうございました、ANRI先生。さて、新聞部くんのほうは大丈夫かな? もし何か質問があれば答えるよ」
よし、チャンスだ! ……と、ルフェルに急かされて、下津名についてそれとなく探りを入れていった。
*****
亜蘭の助けもあって秀聞社で得られた情報は、やはり"下津名に目を付けられると潰される"というような内容だった。
そのほかにも下津名の社内での評判や、パワハラの実態、スクープ記事の捏造手段など……ここだけの話だと念を押されたが、相当卑劣な人物のようだとわかった。そして、周囲がそれに逆らえないことも事実らしい。
ともあれ無事に渋谷まで戻ってきたところだが……今は下津名よりも気になることがあった。
「今日はありがとう。すごく助かった」
「こちらこそ面白い話が聞けました」
「でも、どうして下津名の話題に乗ったんだ?」
「だって、知りたかったんですよね? 下津名高美さんのこと……。今日一緒に来たのも、彼女のことを詳しく調べたかったんでしょう?」
亜蘭のその言葉に、ルフェルは警戒心を露わにした。
やはり気になる。どうしてそこまで知っているのだろうかと。
以前忍田先輩に話を聞いたときは、下津名の名前をこちらが先に出したことで調べていることがバレてしまったが……今回は違うはずだ。
それについて亜蘭に聞こうとした瞬間、
「あっ! いたいたー! 渚!」
素羽たちがこちらにかけ寄って来た。
「あれ……皆さん、どうしたのですか?」
「あ、やっぱり渚が気になってさ、みんなで渋谷をうろうろと……」
「渋谷をうろうろ……? 秀聞社は神保町なのに、ですか?」
「あ、いや、えぇと……!」
正直すぎる素羽の態度に、亜蘭はどこか納得したような、だが少し疑うような表情で続けた。
「……そうですか、やはり皆さんも下津名さんの話が気になっていたんですね」
そして、次に発された言葉に、俺たちは耳を疑った。
「それはつまり……『怪盗団の次の標的』は下津名高美さん、ということですか?」