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【新八視点】
「なんかすみません、お見苦しいところを……」
「あ、いえ、気にしないでください。こちらこそ勝手に入っちゃってすみません」
家賃の回収に来たたまさんが戻った後、依頼人だという女性が来た。
ちなみに今日は銀さんが朝一で依頼に出かけているため、万事屋には僕と神楽ちゃんしかいない。
しかし、この女性、よくみると変わった見た目をしている。
緑がかった瞳に、黒紫色の長髪の美人、と、本人に変わったところはないが、今時珍しい女袴だったり、何より腰に刀を提げている。
……まさか、攘夷浪士とかじゃないよね……?
「ごっさ美人ネ。ホントに客アルか? 美人局手伝えとか言うんじゃねーだろーな」
神楽ちゃんが小声できいてきた。
「いやそれ失礼だから。――あ、今お茶いれてきますね!」
「あ、コラ新八逃げるアルか!」
僕たちの小声のやり取りに女性は首を傾げていた。
*****
「あのー、それで、今日はどんなご依頼で? あ、何かの依頼でいいんですよね?」
「あ、はい……」
「僕たちにできることなら何でもしますよ」
「報酬は頂くアル」
「ええ、それはもちろん。……人を探しているんですが、そういったことも頼めますか?」
「その程度なら朝飯前ネ、任せるヨロシ! あ、名前何て言うアルか?」
「高杉梅です」
「私は神楽ネ。そんでこっちの新八はメガネ言うアル」
「いや"こっちの新八"って何!? すみません高杉さん。あ、僕は志村新八です」
控えめに微笑む高杉さんは小さく頭を下げた。刀は持っているが、危険な人ではなさそうだ。そう思うと少し警戒していたのが申し訳なくなってきた。
「それで、高杉さんが探してるのは、どんな人なんですか?」
「ええと……」
高杉さんは少し思い出すようにしてから、その人物の特徴を挙げていった。
「髪の毛は銀髪で」
「銀髪ですか、珍しいですね……」
特徴をメモに書いていく。
「天然パーマで」
「結構目立ちそうな人ですね」
「ええ。それと目の色は赤で、わりと長身です」
「銀髪、天パ、赤目、長身……――アレ?」
「あと、死んだ魚のような目をしています」
「「…………」」
完全に銀さんじゃねーかァァァァァ!!!!
「あ、あの、その人の名前ってわかったりします、かね……?」
「ああ、先に言えばよかったですね。――坂田銀時、です」
*****
「どーしよ! どーしよコレ!」
「言ったほうがいいアルか? 逆に言わないパターンアルか!?」
またしても小声である。
高杉さんは僕たちの会話を業務連絡か何かだと思っているのか、物珍しそうに居間を見回していた。
「やっぱコレ言ったほうがいいよね。銀さん一応ここの社長だって言ったほうがいいよね!?」
「待てヨ新八! 銀ちゃんとどんな関係か先にきいてからアル」
神楽ちゃんはニヤリと笑った。
「関係って……」
「昔の女だったら、銀ちゃんの弱み握れるかもしれないアルよ」
「いや握ってどうすんの。というか銀さん結構弱みだらけじゃね? 給料未払いとか家賃滞納とか」
「チッ。使えねーメガネだな」
「え、僕が悪いの?」
とはいえ、この女性と銀さんの関係が気になるというのは僕もそうだった。
「あの、高杉さん。答えたくなかったらいいんですけど……銀さ、――坂田さんとはどのようなご関係で?」
「昔の男アルか!?」
神楽ちゃんが身を乗り出して言うと、高杉さんは意外そうに目を大きくして、苦笑した。
「私の――夫なんです」
「「………………え?」」