C-3
【黒子視点】
#name3#さんと付き合い始めてから少し経った頃、いつも通り部活に行くと、なんとなくみんなの雰囲気が暗かった。
「何かあったんですか?」
その辺でシュート練をしていた火神君に聞いてみるも、よくわからないらしい。もう少しバスケ以外にも興味持ってください。
「……あっ、黒子!」
ボクに気づいた小金井先輩が走ってこちらにやってくる。
「黒子さ、1年の#name3#さんって子知ってる?」
「#name3#さんですか? 知ってますけど……」
ああ、そういうことか。と、この妙な雰囲気の原因に気づいた。
#name3#さんの人気はどうやら2年生にまで及んでいたらしい。
「#name3#さんが誰かと付き合ってるって話、本当か知らない?」
「いやコガ、黒子がそんなこと知ってるワケ――」
興味津々といった様子で聞く小金井先輩に、呆れ顔の伊月先輩。
「本当ですよ」
「黒子、オマエ知ってるのか!?」
なんだか悔しかったので正直に言ってみれば、食いついてきたのは意外にもキャプテンだった。
「それで、相手は……?」
なんだかんだで、彼女持ちの土田先輩と好きな子がいるらしい降旗君以外は気になっているらしい。
「ボクです」
「………………」
沈黙……の後に訪れたのは笑いだった。
「いや黒子、それはねぇって、なあ?」
「なんだよ黒子も#name3#さん狙いかよ!!」
予想はできていたが、こうも笑われると少しイラッとくる。
「そんで、ホントは? つか、知ってる奴いるのか?」
「いや、ホントにボクなんですけど」
こっちは真面目に言っているんですが……。
まあ、信じてもらえないなら仕方ない。それにいずれわかることだ。
「コラ、練習は!? 倍にされたいの!?」
体育館に突然響いたカントクの声に、雑談をしていたボク達はびくりと震えた。
そういえばまだボールなどの備品の準備をしていない。
「ちょ、ちょっと待ってくれカントク!」
「言い訳なら練習の後で聞くけど?」
「だ、だだだだって黒子があの#name3#さんと付き合ってるとか言うから! 気になるじゃん!?」
「え、#name3#さん? ああ、付き合ってる人ならいるって言ってたけど……えっ、黒子君!? どういうこと!?」
カントクまで食いついてしまった。
「あの、すみません」
するとまたしても突然体育館に響いた女性の声。
みんなが入り口の方を向くと、噂をすればなんとやらというべきか、#name3#さんがいた。
「あれ、#name3#さん。どうしたの?」
親しげな様子で話しかけるカントク。……そういえば彼女は生徒会に入っていた。
「相田先輩、さっき生徒会室に、これ、忘れていったみたいだったので」
そう言った#name3#さんの手には数枚のプリントがあった。
「あっ、これ無いと思ってたのよー! ありがと#name3#さん」
「いえ、部活がんばってください」
清楚かつ可憐に微笑む#name3#さんに、部員達の顔は緩みきっていた。
「あっ、黒子君!」
きょろきょろと体育館を見まわしていた#name3#さんが突然こちらに手を振ってきた。
「どうも」
とりあえず会釈を返した。
ボクが告白をした時の自信なさげな様子はどこへやら、彼は結構積極的な性格だったようで、普段も人前で"彼女"として振る舞うことが多い。
まあ、嘘ではないし、ふざけているわけではないらしいので、こちらも普通に対応しているが……。
しかし、この状況ではそれがありがたい。
彼は遠慮がちにこちらに寄ってきて、少し小さな声で言った。
「黒子君、今日一緒に帰れるかな? こっち、部活終わるの18時半過ぎくらいなんだけど」
「ボクも19時前には終わると思います」
「良かった、じゃあ教室で待ってるね」
「はい。なるべく急ぎます」
ボクも最初は彼が断われなくて告白を受け入れてくれたのだと思っていたが、ふとした瞬間に本当に嬉しそうな表情をしてくれているのがわかる。
「あっ、長々とすみません! 失礼しました」
きれいに浅くお辞儀をして去って行った#name3#さん。