@ 出会い
【ストロール視点】
ハイザメ討伐のため訪れた古城の街マルティラ。
警備隊長のバードンは「協力者を呼んでくる」と言い残して席をはずし、俺たちはしばらく待機することになった。
「協力者か。警備隊の人かな?」
ウィルが首を傾げる。
「どうだろうな。だがまあ、手勢が増えるというのならありがたいことだ」
「うん。どんな人だろうね」
ハイザメが身を隠す場所の近くにはニンゲンも出るという。アーキタイプを持たない兵士ではかえって危ないのではないかとも思うが……それは本人に会ってから判断すればいいか。
それから少しして、バードンは1人の女性を連れて戻ってきた。
「みなさん、こちらが協力者のアンヌです」
アンヌと呼ばれたクレマール族の女性は大剣を背負っていた。
そしてバードンによる紹介を受けて、俺たちを順に見回した。
「……君はエルダ族か?」
ウィルにそう聞いた彼女の声音に嫌悪感や侮蔑の色はない。だが、やはり気になるのかガリカは少し唇を尖らせている。一方で、ウィル本人は慣れたそぶりで返答した。
「そうだけど」
「そうか。――ただの確認だ。気を悪くしたならすまない。……珍しかったものだから」
「え? ああ、いや、大丈夫」
こちらのわずかな警戒を感じ取ったのか、彼女は謝罪した。その様子にウィルも拍子抜けしたように返す。
そしてバードンは話を進めようと紹介を続けた。
「彼女は剣と魔法戦の天才です。きっとみなさんの力になってくれるでしょう」
「ちょっと。いつも言っているが、過大評価だよ。……私はアンヌ。ハイザメの捜索に協力してくれるならありがたい。君たちが納得いくのであれば、よろしく頼むよ」
「うん。よろしく」
ウィルはさっそく彼女と握手をしていた。決断早いな。
「今日はもう遅い。宿を案内しよう」
「それなら私が行くよ。同じ場所だからね。食事もそこでとるといい」
バードンから案内役を引き継いだアンヌは、俺たちを街へ連れ出した。
*****
連れて来られた酒場宿の店主には話がついているらしく、すんなり部屋を提供してもらうことができた。
「悪いが、部屋が1つしかないので私と同室になる」
「えっ」
「聞かれたくない相談事があれば席をはずしておくから、事前に教えてもらえるかな」
「いいのか? というか、何故私たちにそこまでするんだ?」
ヒュルケンベルグはまだアンヌを少し警戒しているようだ。
「こちらにも事情がある。……1人でハイザメの拠点まで辿り着くのはなかなか難儀でね。君たちにも事情はあるんだろうけど、協力には感謝しているんだ」
なるほど、俺たちがアンヌを協力者と認識しているように、向こうもそう思っていたわけか。
「そういうことなら、アンヌも一緒に相談するのはどうかな?」
「ちょっとウィル!」