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・Edenと会う回
【ジュン視点】
秀越学園内に設けられたEden専用のレッスン室。
玲明での授業を終え、いつも通りおひいさんの荷物を持って後ろを追いかけながら室内に入った。
そこにはすでにナギ先輩と茨がいて、ついでにもう一人女性の後ろ姿が見えた。
仕事の関係者だろうかと考えつつ、とりあえず挨拶をしておく。
「こんちゃ〜っす」
と、オレの挨拶を聞いてこちらを振り向いたその女性は――
「あ、ジュン……と、巴くん? 学校終わったんだね。お疲れ様です〜」
姉さんだった。
「は? ……え!? 何で姉さんが――」
驚きのあまり持っていた2人分の鞄を床に落としてしまっていた。
「茨くんがメールくれてね。Edenのレッスンを見に来ないかって。普段のジュンの様子も見たかったし来ちゃった」
「何をそんなに驚いているんです、ジュン? ――それより、先ほどから日和殿下が一言も発されないことの方が、自分、気になるのですが」
そう言われてやっと気づいた。いつも死ぬほどうるさいおひいさんが、ずっと黙ったまま姉さんを見つめている。
その異様な静かさに、オレらもつい黙っておひいさんの様子を窺ってしまっていた。
はっとしたように動きだしたおひいさんは、姉さんの前に行き、不思議そうに見上げる姉さんの両手を掴み、こう言った。
「ぼくと結婚してほしいね」
「…………えっ、結婚?」
オレたちが何か言う前に姉さんが聞き返すと、おひいさんはいつもの調子で喋り始めた。
「うんうん、そうすべきだね!」
一目見てピンときた、きみはぼくにふさわしい女性だね、とかなんとか。
「な……にを言ってんだこのクソアホ貴族は!?」
オレは思わずおひいさんと姉さんの間に割って入り、手を離させて距離を取る。
「邪魔しないでほしいね、ジュンくん!」
「あんたに姉さんを取られるとか、冗談じゃねぇんすよ!?」
そう言い返すと、おひいさんはまた大人しくなり、オレの背に隠した姉さんとオレを見比べた。
「驚いたね!? ジュンくんとは、全く似ても似つかないね!?」
「いや、それはそうっすけどぉ……じゃねぇ!」
確かにオレと姉さんは似てねぇけど、ちゃんと血縁関係はある。
「ああ、それはほら、男女差もあるし。一般的に、姉弟はそんなに似てないものだよね、ジュン?」
「え、まあ……つか、何で姉さんはそんな冷静なんすかぁ……?」
「いやぁ結構びっくりしたよ。結婚か〜」
「日和くんはとてもいい子だから、私は良いと思うよ」
「ナギ先輩まで!?」
「しかし『Eden』としてアイドル活動をしている以上、そのようなスキャンダルは困りますね」
茨はまともだった。味方が茨しかいないのは不安でしかないが、そうも言っていられない。
「そのくらいバレないようにやるね。もちろん、きみもできるよね?」
「うーん、やったことないからわからないかな」
「姉さん!? もっと拒否ってくださいよぉ!」
「大丈夫! ぼくは優しいからね。初めてのことは手取り足取り、すべて教えてあげるね!」
隙あらば姉さんに触ろうとするおひいさんをシッシッと追い払いつつ、姉さんを説得する。
「断るならちゃんと断ってくださいよ!?」
「いや、巴くんの中では全部決まってるみたいだし、今は何言っても無駄かなって」
「なるほど。ジュンの姉君はずいぶんと諦めが良い方のようですね」
分析してる場合じゃねえ。
オチ未定