A 太刀川
【太刀川視点】
防衛任務がちょうどいい時間に終わり、いつも通り杏子と飲みに行った。
飲み屋を2軒はしごしたところで閉店時間になってしまい、おれたちは若干ふらふらしながら帰る。
「なー、このままおれん家こない?」
こいつもなんだかんだ彼氏いるし来ないだろうなとは思いつつ、誘うだけ誘ってみた。
「行く! 慶ちゃん部屋汚そう!」
「マジ? やった」
判断力の鈍ったおれたちは途中コンビニに寄って酒やつまみを買い足すことにした。
この調子ならノリで1回くらいヤッても許してくれそうだと思って、カゴにこっそり適当に手に取ったゴムの箱を放り込む。
おれが杏子と知り合ったときにはすでに彼氏がいてアプローチするチャンスすらなかったが、気の合う飲み仲間としてかなり近い関係になれたはずだ。
悪ノリには乗ってくる奴だし大丈夫だろうけど、バレてないか一応確認すると杏子はスマホを見ていた。
「見て慶ちゃん、公平怒ってる〜」
「相変わらずシスコンだなあいつ」
杏子の差し出したスマホ画面には、出水からのメッセージが表示されていた。内容はなんか束縛してくる彼女みたいな感じだ。あいつ結構ヤベーな。
ちなみに杏子からの返信は「飲み行くね」だけだった。えっ出水かわいそう。ドンマイ。
杏子の出した千円札を突っ返して会計を済ませると、再び並んで歩き出した。
*****
帰宅後、買ったつまみを使ったとっておきのレシピがあると言い出した杏子がキッチンに立っているところをしばらくぼーっと眺めていた。
なんか新婚みたいだなこれ。ってことは初夜? 初夜だろもう。
先に開けていた缶ビールを一口だけ口に含んだまま立ち上がり、杏子の肩を掴んで振り返らせる。
「慶ちゃん? どうしたの〜」
やっべ、喋れねえじゃんこれ。
小せえ杏子と目線が合うとこまで屈み、抵抗される前に片手で顎を掴んでキスをした。
ビールを口移しで飲ませて舌も絡ませる。空いてる方の手で杏子の腰から尻を撫でていると、杏子にも動きがあった。さすがに怒るか……?
……と、思っていたら、杏子はおれの首に両腕を回して身体を密着させてきた。
「慶ちゃん、したいの〜?」
「そりゃ、まあ……」
「ん〜」
「え、考えんの?」
「持ってるゴム、慶ちゃんサイズ合うかな〜」
「ゴムならあるぜ。つーか持ってたのかよ」
「こんなこともあろうかと〜」
「おまえ結構遊んでる?」
「そんなことないよ? 人は選んでるし〜」