A 雨取-3

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警戒区域内の閉鎖された駅に移動したわたしたちは、とりあえずこれまでの経緯を修くんに説明した。

けど、自転車をわたしが押して、遊真くんが川に落ちたという情報が先に来てしまい修くんが困っている。

それから仕切りなおした修くんはわたしと遊真くんをお互いに紹介して、そこで初めて遊真くんが年上だということに気がついた。

杏子さんも遊真くんも全然気にしてないみたいだったけど、なんだか少し申し訳ない。

「それで、出水さんは千佳の同級生か?」

「違うよ、わたし大学生〜」

「……えっ!?」

修くんはいつもの倍くらい冷や汗をかいていた。

「すみません! てっきり年下だと……!」

「いいよいいよ〜。修くんは千佳ちゃんが狙われる理由知りたいんだよね?」

「……はい。空閑は近界民ネイバーで……じゃない、近界民ネイバーについて詳しいので、知ってるかもしれないと思って、今日2人を会わせたかったんです」

近界民ネイバーに狙われるっていうか、ゲートが開きやすいのはやっぱ、トリオン多い人の近くだよね〜」

「おれも近界民ネイバーに狙われる理由なんて、トリオンくらいしか思い浮かばんなー」

杏子さんの話に遊真くんも頷いた。

それから詳しい説明を遊真くんがしていたけれど、わたしはボーダーに入っていないからか、どういう話なのかあまりわからなかった。

杏子さんも言っていた"トリオン"というものが関係しているみたいだけど……。

「なんならためしに測ってみるか?」

遊真くんの提案で、さっき頭上に浮かんでいた黒くて丸いものーーレプリカが現れた。

レプリカの口からひもみたいなものが出てきて、それでトリオン能力? が測れるという。

遊真くんが勧めてるものだから大丈夫だとは思うものの、やっぱりちょっとこわい。

「レプリカ、ぼくが先に測っていいか?」

「あ、わたしも次やってみたい〜」

『了解だ。まずはオサムから測ろう』

修くんがそのひもの先を掴むと、修くんの体の前に光る立方体が現れた。

レプリカの説明だと、立方体が大きいほどトリオンが多いという。

「このサイズはどのくらいのレベルなんだ?」

「うーん、近界民ネイバーに狙われるにはこの3倍はほしいかな」

「……別に狙われたいわけじゃない」

杏子さんも修くんと同じようにひもを掴んだ。少し待っていると、立方体がまた浮かび上がる。

『こちらの世界の人間では、かなり多い方だろう』

「オサムの5倍以上はあるな。これは狙われ放題だ」

「そうだな……。千佳、おまえも測ってもらえ。大丈夫だ」

先に測定してくれた2人のおかげで緊張は解けた気がする。わたしもレプリカが出したひもを掴んで測定してもらった。

時間がかかるみたいで、修くんたちは少し離れたところで話していた。

*****

「わたしのトリオン、ボーダーでも多い方だからね〜。でも千佳ちゃんの方が多いんじゃないかな?」

「そうなんですか?」

「うん。ていうか、遊真くんに会う前に千佳ちゃんにこの話したんだよ、サイドエフェクトもありそうだし〜」

「やっぱり……」

「それにしても、そんなはっきり近界民ネイバーに狙われてるなら、ボーダーに言って助けてもらえばいいじゃん」

「……千佳は他の人間を巻き込みたくないらしい。他人を巻き込むくらいなら、一人で近界民ネイバーから逃げ続ける、そういうわけわかんないやつなんだ」

「あ〜、だから神社に一人でいたんだ。遊真くんに会う前にも一回近界民ネイバー出たんだよ」

「えっ、そうだったんですか!?」

「うん、バムスター1体だけだったけど。それよりわたし気になるの、遊真くんの方だな〜」

「な、なんで空閑が?」

「あは〜、修くん慌てすぎ。近界民ネイバーっぽいと思っただけ、なんもしないよ?」

「ふむ。バレてしまってはしょうがない。おれは近界民ネイバーだよ」

「納得」

「いや、何で出水さんと握手してるんだ空閑……」

「あ、修くんもわたしのことは名前で呼んでよ。わたし、弟もボーダーにいるから同じになっちゃうし」

「わかりました」

「弟がいるのか」

「うん、高校2年生。かわいいよ〜」

「かわいい……?」

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『計測完了だ』

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