B-5
・馴れ初め(?)
【黒子視点】
4月。今日から帝光中学校に通う。
入学式が先ほど終わり、自分のクラスへ向った。
教室に入ると、黒板の前に数人が溜まっていた。どうやら座席表が貼られているらしい。
表を見ると、座席を表す長方形と、その中に出席番号が書かれているだけだった。名前は書かれておらず、表の上に書かれた"みんな仲良く!"の言葉の通り、自分で話しかけるしかないようだ。
ともあれ指定された席に座る。廊下側から2列目の中間あたりだった。
左隣の席は通路を挟んでいるため少し離れている。右隣にはまだ誰も座っていなかった。
あまり人から話しかけられることもないため、ホームルームが始まるまでの時間をやや持て余していた。暇をつぶせる本は持っているが、初日からそれではクラスに馴染めないだろう。
少し時間が経つと、まばらに空いていた席もだんだん埋まり、教室内の話し声も大きくなってきた。
未だ空いたままの右隣の席の持ち主を想像するが、考えてみたら全く知らない、性別すらもわからない相手だった。
それからさらに時間が経ち、最後の数人が教室に入ってくる。
全員男子だったが、その中でも頭一つ分くらい背の高い人がこちらに向かってきた。
その人はボクの右隣の席に座ると、カバンを机に置いたと思ったらすぐにこちらを向いた。
「ねえねえ、名前なんて言うの?」
「…………あ、黒子テツヤです」
隣に座っていても気づかれないことなんて今までよくあったからか、彼がボクに話しかけているのに気づくのが遅れてしまった。
「俺は橙堂#name4#。よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
そう言って握手をすると、彼――橙堂君は嬉しそうに笑った。
橙堂君の笑顔はとても輝いていて、爽やかさを擬人化したらこうなるだろうという感じだった。
少し離れたところの女子が橙堂君を見て何やら色めきだっているのが聞こえる。
正直に言うとボクはこの時点でかなり橙堂君に好感を持っていた。
「橙堂君、背高いですね。何センチあるんですか?」
「そう? 去年測った時は173くらいだったけど……そういえば、さっきすっごいデカい人見たな」
「ああ、ボクも見ました」