サイン本
「なー、帝統」
「あー?」
「次の仕事ふんどしだって、どーしよ」
「はあ?」
昨日から綴の家に勝手に居座っていた帝統は、ベッドを占領して読んでいたマンガから目を離し、綴の方を見た。
一方、綴は神妙な面持ちでスマホ画面を凝視している。
「履きゃいいじゃん」
「いや、履く……締める? だけならまだしも、本になっちゃうんだよね」
「たかが雑誌の2、3ページだろ?」
「じゃなくて。ポーズ集的なやつ。何十ページもあるやつ」
「んだそれ……誰が買うんだよ、お前のふんどし写真集とか」
「失礼だな。写真集じゃないし。絵とか描く人が買うんじゃないの? ――あ、つか写真集で思い出した。お前、俺の写真集どうした? この前あげたやつ」
「んあ〜……あ?」
「忘れてんのかよサインまでしてやったのに」
「いや頼んでねえし……つーか、写真なんか持ってなくても実物に会えんだからよ」
「きゃーダイスくんかっこいいー女なら惚れてたー」
「真顔で言うなよ」
「はあ……売ったんですね……サイン入りだしまあまあの値はついたでしょ? 俺これでも売れっ子だから」
「バカ、売るわけねぇだろ。でも俺家ねえから、幻太郎んとこに置いてもらってるわ」
「えっ、アレ夢野さんに見せたの」
「おー。あ、そういや幻太郎もサインほしいって言ってたぜ」
「マジか。っていうか俺も夢野さんのサインほしい……」
「……俺のも書いてやろうか?」
「いらね」
「んだとテメー!」