帝統と@
【帝統視点】
「あ、見つけた」
「んぁ……?」
目が覚めたらゴミ捨て場でパンイチになっていた。
そんな俺の目の前にいるのは見覚えのありすぎる女。……女っていうか、姉だ。
「まーたそんなとこで寝て。はい服着る」
「おー、サンキュ」
百々子はいつの間に取り返してきたのか知らないが、昨日まで着ていた俺の服と新品のボクサーパンツを手渡してきた。
「あっ、こら脱ぐな!」
「? 脱がねえと着替えらんねーじゃん」
「いや、急にパンツ脱ぐなって意味なんだけど」
「あっ。わりぃわりぃ」
いつものことすぎて無意識だった。
「つか、お前、また抜け出してきたのかよ?」
「そうだよ」
「怒られんじゃねえの」
「別に何も言われないよ? ちゃんと仕事してるから問題ないって。今日休みだし」
「ふーん」
俺と同じ髪や目の色、カンの良い奴なら俺たちに血縁関係があることはわかるだろう。俺の周りにはそういう奴が多いから、できればシブヤで会いたくないんだけどな。
「――ね、なんか食べに行こ? お腹空いてるでしょ?」
「そりゃありがてぇけどよ……」
「うーん、この前はシンジュク行ったし、今日はイケブクロにしよっか。車あるからおいで」
*****
おカタくて窮屈な有栖川から家出して間もない頃、シブヤで百々子に見つかった時は連れ戻しに来たのかと思ってた。
だからその時は今じゃ考えらんねぇようなひどい態度を取ってたけど、何回か話すうちに"ただ大事な弟が心配で会いたかっただけ"だなんて泣かれてさすがの俺も焦ったな。
ちゃんと話を聞けば百々子も上には秘密で抜け出して来ていたと知って、むしろ俺の方が心配になったし。
百々子は昔から俺のやることにはいちいち口も出さなかったし、かばってくれたりして、色々としたいようにさせてくれていた。だから全部投げ出して家出したつもりだったのに、この姉だけはどうしても切れなかった。
「帝統、どうしたのぼーっとして」
赤信号を待っている間、助手席に座る俺を不思議そうに覗き込んだ百々子。
「何か食べたいものある?」
「んー……肉?」
「ふふ、いつもそれじゃない、いーけど」