16日*



 夢を見ていたけど、良い所で目が覚めた。今は何時だろうと思い手探りでスマホを探して時間を確認すると、9時を過ぎた頃だった。平日ならばもうとっくに仕事を始めている時間だ。だけど今日は休日だ。目覚ましをかけないで寝ていられるのは休みの日の至福の時間である。さっきの夢の続きを見ようと思い体勢を変えて目を瞑った時、伯寧に名前を呼ばれた。

「起きたのかい?」
「寝てる」
「起きてるじゃないか。朝ご飯できたから食べるならおいで」
「食べる」

 朝ご飯という言葉と共に良い香りが寝室まで漂ってきて、寝起きですっからからんの胃が収縮してぐうと音が鳴った。急いでベッドの下に落ちているルームウェアを着てから洗面所へ向かい、顔を洗って化粧水と乳液をつけてテーブルにつく。テーブルには食パンと昨日の余りのサラダとベーコンエッグが並んでいた。

「これ伯寧が作ったの?」
「そうだよ。…何だいその目は。私だってこれくらいは作れるようになったんだよ」
「へえ……」

 ついこの間までダークマターを作っていた伯寧が食べられるものを作れるようになったことに凄く驚いている。火加減を覚えるだけでこんなに上達するのかと思ったけど、元々何でも器用にこなす人だから原因がわかって人並みにできるようになったのかもしれない。美味しそうな匂いに我慢できなくなったから、手を合わせて頂きますをした。早速ベーコンエッグを食べようと思って箸で黄身を割ると、中心部分だけがとろっと出てきて、それをベーコンと共に口に入れたら、黄身のまろやかさとベーコンの塩味が良い加減となって口の中に広がった。ベーコンの端のカリカリに焼けた部分の食感も良くて頬が落ちそうになる。

「美味しい!卵の焼き加減も私が好きなやつ」
「それならよかった」

 伯寧は食パンにバターを塗りながら満足そうに笑った。その時にふと伯寧の分のベーコンエッグが目に入った。私のと比べてベーコンのカリカリした部分が黒い気がする。お行儀が悪いと思いつつも、ベーコンをひっくり返そうと自分の箸を伸ばしたら、伯寧がさっと皿を遠ざけた。

「おっと、こっちは駄目だよ」
「裏だけ見せて!」
「それも駄目」

 伯寧はそう言うとベーコン全部と卵を半分ほど一気に口の中に入れてしまった。その時に少しだけ見えちゃったけど、ベーコンの裏側は黒くなっていた。やっぱり焦がしていたことと、綺麗に焼けた分を私にくれたのが何だかかわいくて耐えきれずに笑ってしまった。


2210316

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