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「ここは日本でも有数のセキュリティを誇るヒーローを輩出する高校、雄英高校さ!」


 急に喋り始めたネズミにへぇだのほうだの相槌を打っていたら勝手にこの施設について説明してくれたが、なるほど聞いたことないな。まずヒーローとは。牙狩りがヒーローなの?血生臭すぎないか。つかまずヘルサレムに高校とかなかったよね。あれ、白人街にはあるんだっけ


 ネズミの一人語りを聞いているとやっぱりどこから知らないところに飛ばされたらしい。なんなら異世界っぽい。どうやって帰るかな〜。おんなじように元の場所に戻す術を持つ奴と接触するか、術を身につけるか。それじゃあいつになることか...


 だれか迎えに来てくれないかなぁ
他力本願結構。俺一人ができることなんてたかが知れている。

 
「ところで君はそんな雄英にどうやって入ったんだい?」


「やっぱそうくるよね」


 笑顔を絶やさずじっと警戒色を強めるネズミに思わずこちらも笑ってしまう。さっきセキュリティーがどうのって言ってたもんな。それを看破した不審者。


 なんか面白そうなので挑発的に応えてやろうかとも思ったが状況的には大人しくてたいた方が色々喋ってくれそうである。


 なにせこっちは子どもの姿なのだし本気で無一文なのでとりあえず可哀想な迷子にコーヒーでも飲ましてほしい


「それが、気づいたらここにいて。ここがどこかも、言うなら国もよくわかってません」

 急に態度を変えすぎかとも思ったがあまり気に留めていないらしい


「嘘じゃなさそうだよね!なぜならって?監視カメラで君が突然現れるのを見てたからさ!」


 また消えて戻ってくるからこうして見にきたわけさ!と胸を張って言うこいつは実はネズミじゃなくて狸なんじゃないだろうか。


 見てたんなら最初っから言えよ、と思いつつ見た目年齢相応な感じでしょんぼりとした雰囲気を醸し出して俯いているとネズミが「ご両親はどこかな?」と聞いてくるが多分この国?この世界には「いないです」

 そう答えるとネズミはどう勘違いしたのか神妙にうなづいて構内に入るように促した。


不本意ながら不法侵入は間違い無いので(それもこの国有数の)警察は嫌だなぁとビヨンドの警察官達の顔を思い出して少しげんなりした。


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