Deathly Hallows(Part 2)-19



早朝特有の空気が漂う開店前であっても、店内のところどころでは、開店の合図を待てない魔法たちが"キラキラ"、"ことこと"と音を立てている。
息子のアルバスと訪れるより一足先にダイアゴン横丁のこの店に訪れたかったのは、長男のジェームズのときも同様で、ハリーにとっても恒例になりつつあった。ただ空気を味わいながら、レジスターの陰にひっそり貼られた名前とフレッドジョージの、三人の写真をゆったり眺めに来たいだけだったのだが、ジョージも快く迎え入れてくれていた。

「フレッドも買い物は済ませた?」

ハリーは写真を見つつ、フレッドと名付けられた、ジョージの息子のことを尋ねた。

「あぁ。二週間前にはとっくに。それからマグル生まれの友達の家に泊まり込んでお勉強に夢中」
「……」
「…"調べもの"なんだってさ」

フレッドが学校の用意を異様に早く済ませるのも、何日も前倒しして家を出てしまうのも、新一年生の頃からであったが、また一段と早まったような回答にハリーは驚いた。

まったく誰に似たんだ?
そう微笑むジョージの表情は、答えはとっくに分かっている様子で穏やかで、ハリーもまた、胸を温かくしたのだった。
ジョージのポケットに入れた手の袖からは、名前のあのネックレスのチェーンを少し変えたブレスレットがのぞいており、まるで二人とともに会話を楽しんでいるようだった。


思い出の小さな塔は、名前が穏やかに佇むその丘から綺麗に見下ろせた。
表情をわくわくさせ、ローブをはためかせた生徒が一人、城の通路を無邪気に駆けて、気の許す友人らしい二人と合流すると、

" パチン! "

格子の錠を指の音で解いて、三人で塔の階段をかけ登った。

「…!」

眺めていた名前はその姿に頬をゆるませた。容易に過去の自分と重なり、またあの魔法が宿る体を変えているのを知って嬉しい気持ちと、平和な世界で過ごす彼らのことが愛おしく、心から大切に思えた。

同じ光景を見ていたらしいフレッドが隣に歩み寄り、名前の肩を抱きよせた。彼もまた嬉しそうに笑うのを見上げて笑顔を交わし、名前もそちらへ身をゆだねる。
寄り添って眺める、ホグワーツ城はあまりに美しく、泣いてしまいそうなほどだった。名前はいつまでも、安らかな、穏やかなときを、フレッドとともに過ごし続けた。


- ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 - 終



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