10
僕は正式に危険能力系への移動が決まった。この事は学園中に広まった。
あの後は、罰則という名の1ヶ月の中等部校長の屋敷に幽閉。
その1ヶ月間は初校長の命令でずっと《任務》をこなしていた。
その《任務》を失敗すれば罰則と称し、初校長にたくさん鞭で叩かれたりもした。
「凪、今日からこの子と任務を行う。」
仮面の人、ペルソナが連れてきたのは僕と同じ歳くらいの男の子だった。
「三条凪‥‥」
「日向棗だ。」
「今日はどこ?」
「この組織を殲滅しなさい。」
「‥‥」
「棗は凪のサポートをしろ。」
「ちっ‥‥」
特に目を合わせる訳もなく、適当に名前を名乗ってペルソナに今回の任務の確認をする。任務内容だけを告げペルソナは姿を消した。
ぱん!
「犬神。」
ボフンッ!
僕の言葉とともに体が煙に巻かれ、そこから現れた大きな犬神に日向は驚いていた。
「僕のアリスは、妖変化と人体発火。‥‥早く乗って。」
尻尾を彼の股下にスルリと入れ背中に乗せて走り出す。
向かうのは組織の本拠地のビル。
「い、犬神だぁ!!!」
「撃て!撃てェ!!!!」
隠密にやる様にはペルソナから支持されてないから正面から突っ込んだ。僕のアリス、規模がいちいち大きいから隠密には向いてないんだよね。
「日向のアリスって何?」
「火のアリス‥‥。」
「なろ僕の周りに炎の壁作って。一度に二つもアリス使えないから」
日向のアリスで壁を作り、ひとり残らず食いちぎり、踏み潰し、殲滅していく。
最上階。
変化のアリスを解いて、長い廊下の突き当たりの部屋にはいる。
「ようこそ、バケモノと黒猫のお2人。」
そこには小太りのおじさんが一人いた。コイツで最後。恐らく組織のボスか何かだろう。
「き、君たちと取引を「うるさい‥‥」‥‥え?」
バァンっ!!!!
「おいっ!」
ゴロゴロゴロ‥‥
爆発音が鳴り響いた後には床に転がる頭部。
「行こう。」
「今のが、人体発火のアリスか‥‥?」
「‥‥そうだよ。」
人体発火のアリス。
「僕のアリスは君の発火能力とは違って、発火地点が僕自身っていう絶対条件がある。」
「‥‥」
「今のは足の裏を発火して移動速度を上げておじさんの首目がけて蹴る。その瞬間に爆発を起こしただけ。」
「‥‥」
「君も爆発くらいならできると思う。」
彼はただずっと驚いた顔をしていた。
きっと同じ歳の子がこんなにも殺しに慣れていることに驚いたのだろう。
「帰ろ。」
ぎゅ‥‥
「は‥‥?」
「え‥‥?」
「何で、手ぇ繋ぐんだよ」
「え‥‥、だって帰る時は誰かと手を繋ぐものだって‥‥行平さんが‥‥」
あれ‥‥?
いつも任務は1人だった。
だからこうする機会はなかった。
行平さんが、どこかから帰る時は手をつないで帰るものだよ。って教えてくれた‥‥。
「違うの?」
「さぁな」
そう言った彼は、僕の手を握り返して歩き出した。
「行平さんって誰だよ」
「高等部?の、校長先生」
「なんでそんな人と知り合いなんだよ」
「‥‥なんでだろ‥‥」
「‥‥」
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