相澤消太の相談室
※6話以降くらい
仮眠室のソファーの上であいつは寝そべっていた。
いくら生徒達と歳が近いと言えど彼女は一応教職員側であり、成人している。ジェネレーションギャップを感じで疲弊しているのだろうと珍しく内面を気にして教師らしく振舞うことにする。
正面のソファーに腰をかけて奴を視界に納める。……やっぱ顔は好みだな。
憂いの表情のままひっそりと溜息をつく姿を直視してしまうと、顔に弱い分相談に乗ってやりたくなってしまった。
「どうした」
『先生……、最近の子は発育いいな。時代を感じる』
「訊いた俺が馬鹿だった」
捕縛武器で頭部を殴り倒した。
つか、こいつ何で顔は清楚なのにたまに喋ると若干男っぽいんだよ。
叩かれた頭を撫でながら、ダメージを受けていない表情でなおも続ける。
『牛乳ちゃんが』
「八百万な」
『規格外過ぎて……一瞬女子高生だって事忘れてしまうんだが。接し方がわからん。女子って怖い』
「付き合いたての彼氏か」
顔を手で覆いながら大変苦悩しているようだ。その苦悶に満ちる表情さえも好みなんだよな。顔の造形がいい。
だが、段々同性と会話しているような錯覚に陥って、それが破壊力半端ない上にこっちも相当精神的損壊が激しくて崩壊寸前なんだよ。という苦情は飲み込んだ。
『女子高生ってエロいよ。パーソナルスペースが近すぎて逆にあんな無防備で大丈夫なのか、そっちのが心配になってくるわ。お兄さんが護らなアカンのか、とまで考えるとどうもなんか、昔の癖が出る』
「なんかお前、王子みたいだもんな。クラスの女子がお前に黄色い声援贈る日もそう遠くなさそうだ」
『はあー…なんか、女子との距離の測り方とかの教材とか持ってねえの?』
「何で俺が持ってると思ったんだ。てか……お前と話してると男子高校生にタイムリープしている気分に陥るんだが気の所為か?」
『気の所為だ』
かなり困惑しているのか、珍しいくらい翻弄されている様子に同情さえ芽生え始めていた。
確かに、10と20じゃ近いと言えども思考まで一緒な訳がない。考え方ひとつとっても差が歴然としているんだ。接し方がわからないと嘆く気持ちも察しなければならないのだろう。俺はこいつより年上だしな。
無造作な髪をがしがしと掻きながらひとつ息を溢す。
「轟はどうした。あれから奴の尋問はないのか?」
『……と、どろき?って誰だっけ?』
「いい加減クラスメイトの名前憶えろ、20人しかいねえから」
更に名簿で打撃を追加。但し顔は避ける。
名簿を手に持ち中身を広げて名前一覧を指差しながらブツブツと復唱している。
意外に脳みその出来がいいんだから憶えろよな。簡単だろうが。
昼下がりの午後。顔の横に垂れた髪を耳にひっかけて瞼を閉じる彼女の外見は優等生染みていて、窓から差し込む光によって幻想的に魅えた。
(やっぱ似てるんだよな…あの人に)