追憶の欠片



0708
Sat

相澤消太の相談室


※6話以降くらい

仮眠室のソファーの上であいつは寝そべっていた。
いくら生徒達と歳が近いと言えど彼女は一応教職員側であり、成人している。ジェネレーションギャップを感じで疲弊しているのだろうと珍しく内面を気にして教師らしく振舞うことにする。
正面のソファーに腰をかけて奴を視界に納める。……やっぱ顔は好みだな。
憂いの表情のままひっそりと溜息をつく姿を直視してしまうと、顔に弱い分相談に乗ってやりたくなってしまった。

「どうした」
『先生……、最近の子は発育いいな。時代を感じる』
「訊いた俺が馬鹿だった」

捕縛武器で頭部を殴り倒した。
つか、こいつ何で顔は清楚なのにたまに喋ると若干男っぽいんだよ。
叩かれた頭を撫でながら、ダメージを受けていない表情でなおも続ける。

『牛乳ちゃんが』
「八百万な」
『規格外過ぎて……一瞬女子高生だって事忘れてしまうんだが。接し方がわからん。女子って怖い』
「付き合いたての彼氏か」

顔を手で覆いながら大変苦悩しているようだ。その苦悶に満ちる表情さえも好みなんだよな。顔の造形がいい。
だが、段々同性と会話しているような錯覚に陥って、それが破壊力半端ない上にこっちも相当精神的損壊が激しくて崩壊寸前なんだよ。という苦情は飲み込んだ。

『女子高生ってエロいよ。パーソナルスペースが近すぎて逆にあんな無防備で大丈夫なのか、そっちのが心配になってくるわ。お兄さんが護らなアカンのか、とまで考えるとどうもなんか、昔の癖が出る』
「なんかお前、王子みたいだもんな。クラスの女子がお前に黄色い声援贈る日もそう遠くなさそうだ」
『はあー…なんか、女子との距離の測り方とかの教材とか持ってねえの?』
「何で俺が持ってると思ったんだ。てか……お前と話してると男子高校生にタイムリープしている気分に陥るんだが気の所為か?」
『気の所為だ』

かなり困惑しているのか、珍しいくらい翻弄されている様子に同情さえ芽生え始めていた。
確かに、10と20じゃ近いと言えども思考まで一緒な訳がない。考え方ひとつとっても差が歴然としているんだ。接し方がわからないと嘆く気持ちも察しなければならないのだろう。俺はこいつより年上だしな。
無造作な髪をがしがしと掻きながらひとつ息を溢す。

「轟はどうした。あれから奴の尋問はないのか?」
『……と、どろき?って誰だっけ?』
「いい加減クラスメイトの名前憶えろ、20人しかいねえから」

更に名簿で打撃を追加。但し顔は避ける。
名簿を手に持ち中身を広げて名前一覧を指差しながらブツブツと復唱している。
意外に脳みその出来がいいんだから憶えろよな。簡単だろうが。
昼下がりの午後。顔の横に垂れた髪を耳にひっかけて瞼を閉じる彼女の外見は優等生染みていて、窓から差し込む光によって幻想的に魅えた。

(やっぱ似てるんだよな…あの人に)


0703
Mon

Heroism編-あとがき


今から三か月前のあとがきを三か月後に書くという異例の出来事。

ひとまず、長いよ――――!!!

ですかね? 丁寧に書きすぎて色々と伏線ちりばめすぎました。
回収していくのが骨折りです。

今回は学生生活の日常部分に観点を入れたお話になります。
閑話も多かったのは日常的な部分の補足という事柄と新章へ突入するための準備運動といった処置だと思います。
こんな風に学生と関わっていますよ、という感じですね。

二期ではすでに新章突入へと物語は進んでしまいましたが、こちらはまだUSJ。
ですが丁寧に書かないと折角引いた伏線を回収できません。
素敵なサイト様のお話は甘く切なく…そんな青春のようなお話ばかりでしょう。私が書くには只管に根暗で血だまりで地を這うようなお話。

これから先もこのような展開が待っていることでしょう。

飽きずに応援してくださると幸いです。
護られるより護る女子が好きなので、戦闘万歳!

轟くん寄りなのですが、爆豪くんも加わり、より一層主人公を取り巻く環境は乙女チックになっていくことを私も願いながら、ここまでと致します。

死柄木さんとはどんな関係なのか?
きっと気になるところではございますが、それを少しずつ明かしながらこちらも新章スタートです。


0210
Fri

爆豪勝己が追いかける


※5話以降に該当


これは―――同族嫌悪だ。
あの女が自分にとって気がかり足りえる存在だと発するなら、それは絶対的に嫌悪でなければ、説明がつかない。断じて、心を巣食う蝕みの浸食は、好適俗物の塊などではない。
胸やけする不快感に、眉根を寄せながら左胸を服の上から掴んだ。
服の皺が寄った。ひび割れた地面のような、損壊で……。

『だからお前は、脆いんだよ』

反論の余地などまるでなかった。それは相手が強敵だと認識しただけじゃない。本当にその通りだと納得しちまった自分が確かに、胸の奥に居たからだ。あの碧眼のガラスレンズで見透かされている気分に曝された。不気味?そんな生易しいもんじゃない。もっと根底から闇に掴まされた気分だ。
突然しゃしゃり出て来てクソナードに纏わりつく、あの薄気味悪い邪者の清清する瞳には俺など初めから映し出されてもいなかった。それが……妙に腸が煮えくりかえる。
調べても何も出て来ないことは、調査する前から何故だかわからないが、悟った。
だから、あの女のことは探らない。これも不思議だが、あの女はまた近いうちに再会できると思っちまった。
だが、あの女は為りを潜めた。代わりに、あの女と雰囲気の似た白髪女が特待生として入学してきた。同じクラスに在籍している。そして……デクの傍に必要以上に懐いてた。
名前すら似ている白髪女を、俺は視界に入れてはすぐに追い出した。
その繰り返しを行いながら、否定と肯定を行ったり来たりと繰り返す。何がしたいのかなど俺が一番知りたいと望む事項だ。
半分野郎が白髪女と接触する度に、反吐が出そうだった。
糞だ糞だ、と罵しりながらあいつは俺の投影だと肯定しそうで、無理矢理喰い破った。
探究心をかなぐり捨てた先に、何が待ち構えているのか、俺は……今もまだ背を向けて続けた。

「早く、来い」

俺の目の前に顕れろ―――。




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