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 私は、あの頃に戻りたかった。栄光も名誉も名声も全てを手に入れて、大切な人は笑う。そんなもう一つの未来へ進みたかった。
全てはまるで決められた運命の様に、残酷で、残忍で、そして罪人はどんな場所でも断罪を求めなければならない。それが罪人の証であり、運命であり、辿るべき未来なのだと、私は思う。


『忘れるな』


犯した罪は一生消える事はない。十字架を背負い歩き続けろ。粛清者はすぐそこにいる。


-----------side:JUN ARISUGAWA


 やっとここまで来た。あたしは教室に設置してある椅子に座り無意識に背筋を伸ばした。あの人の背中を追いかけてがむしゃらにここまで走り続けた事を自分自身に褒めてやりたい。憧れて、焦がれて、やっと貴女の居る場所まで辿りつけた。その達成感は着実にあたしの顔を崩落させていく。にやけが止まらない。早く自己紹介とか終わらせて部活へ行きたい。方南学園ストライド部へ―――。


「八神陸です!好きな焼きそばは焼きそばパンです!」


馬鹿じゃないのか、コイツ。相変わらず馬鹿は馬鹿なままなんだな。
机の上に肘をついて顎を乗せて、八神陸という男の姿を見つめていた。そんな男の一つ挟んだ後ろには藤原尊が桜井奈々と八神陸と視線を向けながら、最後にあたしへと向けて来る。 勘弁しろ、この根暗。
念が通じたのか、それともタイミング良く紹介の順番が回って来たからなのか。藤原は立ち上がり簡潔に紹介を始めた。


「藤原尊です。よろしく」


清々しいわ、本当に。
鼻で笑ってやると藤原はあたしに視線を合わせて来た。
だからこっち見るなって。確認もすんな。足も見るな。まるで精神安定剤か何かのように、藤原はあたしの足へ視線を投げじっと見つめられていた。


「桜井奈々です。北海道から来ました東京はあたたかくてうれしいです。東京のことよくわからないので、いろいろ教えてください」


桜井がお辞儀をすると八神が大きな拍手を送っていた。少し気恥かしそうに桜井が座るので次はあたしの番だと立ちあがった。


「有栖川純です。憧れの人を追いかけて東京へ来た。走る事以外は興味ない。よろしく」


面倒そうに席に座れば何故か周囲の的になっていた。 こっち見るな。恥ずかしくなり口をへの字に曲げて余所を向くと桜井が瞳を輝かせてこちらを見つめてくるのがとても痛かった。


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