06
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side:you
『じゃあ実際にリレ―ション。やってみようか』
大体の機材の遣い方をレクチャ―し終えたとあゆむんから聞いたので、ななちゃんの隣にたった。
「ええ―!」
『はいはい。最初は恐いし、不安だと思うから。この祈お姉さんがお手本を見せます。よく見て頭の中で想像してね』
「はいっ」
「祈さんがリレ―ショナ―のテストするんですか!じゃあ、あたしがっっ!!」
『りっちゃん。たけちゃん。お願い』
遠くからアリスちゃんが叫んでいるけど無視してりっちゃんとたけちゃんを呼び寄せた。
「あの、いいんですか?」
ななちゃんがアリスちゃんに気を回す。
『練習の必要ないでしょ?たけちゃんとアリスちゃんってコンビ歴長いんじゃないかな?』
たけちゃんに問い掛けると。
「……そっす」
既に傍まで来ていたので答えてくれた。
「よくわかったね祈ちゃん」
りっちゃんも慌てて来たようだ。
『さっきの練習中。二人共何も言わずに意思の疎通が出来てたから』
「確かに。ふたり共、息ぴったりだった」
『ななちゃんも大分コツがつかめているみたいだね。よし。じゃあ格好いい騎士(ナイト)くんたち。お姫さまのお願いを聞いてくれるかな?』
りっちゃんとたけちゃんの腕を掴んで耳打ちする。ふたりは同時に頷いてそれぞれ通常のリレ―で使用されるレ―ンの距離まで離れてスタンバイしてくれた。
『観ててね』
ヘッドフォンを装着して、インカムをつけた二人に声をかける。
『準備はいい?スタ―トの合図はあゆむんがしてくれる手動だからタイミングずれるかもしれないけど。好きなように走っていいから。ふたりとも、信じて』
《あなたの事は信じてる》
《祈ちゃんを信じてる》
ふたりの可愛らしい返答にくすぐったい気持になる。素直だな。
あゆむんに手を上げて合図を送れば、スタ―トのためにアプリを起動した。
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side:NANA SAKURAI
《Get Set……》
カウントダウン音声が再生され、一拍したのちスタ―トが出された。
勢いよく駆ける藤原くんは速い。有名選手と先輩が言っていた事だけはある。見事な走行だった。
そろそろテイクオ―バ―ゾ―ンに突入する。いつ言うのだろうとハラハラした気持ちで恙御先輩へ視線を合わせる。
『セット』
静かな声だった。恙御先輩の周囲だけ風が凪いでいたかのように。はっきりと私の耳にも届いたその声は、あの動画で聴こえて来た人の声とそっくりだった。落ち着いた無駄のない優しくて柔らかな声音(トーン)。まさか……。
記憶を呼び覚ます暇もなく。恙御先輩は指示を出した。
『スリ―・ツ―・ワン……GO』
その言葉が合図となり八神くんは迷いなくスタ―トを切った。力強い走りが藤原くんの前に飛び出す。それを追いかける一歩踏み込んだ先に、八神くんの手があった。音のいいハイタッチで繋いだそのリレ―ションは、動画で見た時の感動を呼び覚まし。私の頬を雫が伝った。視界に恙御先輩を映せば、彼女はあの時と同じ声で、言葉で、私と走る藤原くん、八神くんにこう言った。
『大丈夫だよ』
この人は、あの動画で、あの感動した、心を揺さぶった。あの二人にリレ―ションの声をあげた。リレ―ショナ―だったんだ。
『どうしたの、ななちゃん?』
先輩が少し驚いた声を上げて頭を撫でてくれるから。零れる涙を拭って。
「あなたのファンです。あなたのリレ―ションが大好きです!」
そう伝えた。ずっと言いたかった言葉を。
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