7.5(蜂須賀視点)
「そんじゃまず、隊長は蜂須賀、次に厚、次にへし切」
「主、出来れば俺のことはへし切ではなく長谷部、と。前の主の狼藉が由来なので」
「あ?そうなの?なら長谷部」
目の前で俺達三振りに指示を出している娘は、新しい主で、お世辞にも頼りになるとは言えない背を見つめた。
見たことないような服装(学校とやらの制服、らしい)に身を包み、長く伸ばされた髪の毛は綺麗な金の色。目の色も髪色と同じく金の目をしている。
顕現された時は女性、尚且つ若い娘という事で顔には出さなかったが驚きはした。
目を見た時に不安の気持ちが汲み取れて、この主は果たして大丈夫なのかと不安にもなった。自分が話しかける度に緊張している風だったので尚更だ。
喋る面妖な狐に連れられ単騎で出陣、そして重傷で帰るという、現代の娘には何とも酷な流れだっただろう。
傷を見てしばらく呆然とはしていたが、手入れを自分がやると言い出し、尚且つ刀にあまり傷ついて帰ってくるな、という事まで言うのだから呆気に取られて笑ってしまった。
普通に考えれば甘い考えだ。過去に飛び歴史を守るのが役目なのに深追いするなと言ってるんだから。
でも、
主は気づいていなかったと思うが、震えていた手やこっちを真剣に見つめる顔を見て多分護りたくなった、と単純に言えばそういう事だろう。
まぁ俺がずっと護ってあげられるかは分からないし、いつまでもただの小娘のままじゃどうしようもないから、しっかりした主にはなって欲しい、かな。
「主」
「あ?」
俺が呼べば、厚と長谷部に向けられていた視線はこちらに向いた。
現代の女性は皆こんな乱暴な口調なのかとどうでもいい考えを頭の隅に追いやり、主から力を借りる為手を握った。
まだそれは緊張するのか主の体が強ばったが、笑顔を浮かべて「行ってくるよ」と言えばぎこちない笑顔で「ああ」と返ってきた。
無愛想でまだ頼りない主だが、俺にとっては俺を選んでくれた主だ。
主の為に勝利を持ち帰ってみせよう。
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