Inanna01
女により作り上げられ、女により統治される中王区。その北ブロックに位置する私立 桔梗ヶ丘学園は情操教育に重きを置き、気品と教養を養う場として、娘を淑女に育て上げたい親がこぞって自身の娘を就学させる。私の親もそのうちの一人で、私はというとこの学園に初等部から在籍しており、淑女のなんたるかをこの身に叩き込まれて成長した。歩き方、話し方、趣味、身だしなみ、思想までも、本人の意思は関係なく”素晴らしいプログラム”をインプットされ、高等部3回生となった今私は誰もが認める優等生と言われていた。
「あぁっ、はぁっ、やらぁっ!!」
「っは!呂律も回んねえくらい気持ちイイんだろっ、」
「ひぃっ、ああんっ、だめっだめなのにっ、」
中央区花屋敷町、完全個室のネットカフェの簡素で窮屈な一室は、肌を打ち鳴らす音と悲鳴にも似た女の嬌声で満ちている。女、基私にパソコンが設置されたデスクに手をつかせ突き出た臀部に手を添えて陰茎を出し入れしているのは、悪趣味なのに嫌に似合う一部だけ長い青い髪にこれまた悪趣味な髪飾りを付けた眼光の鋭い男だった。膝丈の紺のスカートを腰までたくし上げ、片手で後ろ髪を手綱のようにつかみながら激しく腰を打ち付ける。怒張が行き来するたびに腹の中が押し上げられ息ができなくなる。中が痺れて、浅ましくも高い声が漏れることに嫌悪しつつ、初めての性行為が、狭苦しい場所でそれも机に手をついて、行きずりの男とだなんて意識してしまうと堪らなく昂ぶった。
「お前あのガッコのお嬢様だろっ、いっつもこんな事してんのかよ…っ」
「あっ、してないっ、してないからっ、」
「奥突かれてよがってるくせにすぐバレる嘘ついてんじゃねぇよ!」
「ほんとだったらぁっ、あぁっ、ほんとなのにぃっ、初めてなのっ、あっ、」
抽挿を繰り返すたび、結合部から「ぐぷ」という汚らしい音と粘液がしたたり落ち、私の腿をべっとりと汚す。彼の言うとおり、嫌だ嫌だと言いながらその口で喘いでいれば何の説得力もなく、快楽に身を堕とし涙をこぼして悦ぶ私がここにいるのだからこれが私の本性であるといわれても反論の余地などない。
「これ写真撮っとくか」
「やめてっ、写真だけは嫌っ、なんでもするからぁっ」
「おー言ったな。なら早速こっち向けよ」
陰茎が引き抜かれたそこは、自分でもわかるほどにひくひくと痙攣していて、とめどなく蜜が流れ出ている。へたれそうな腰を奮い立たせて彼のほうを向けば、抱え込むように抱きつかれ、頬をつかんで唇を吸われた。濁った水音が耳に入り、鼻にかかる声を出しながら与えられるキスを受け入れている最中にも、セーラー服の厚い生地越しに、震える勃起した男根が私の下腹に押し付けられて、また腹の奥が熱くなる。彼はというと舌を吸ったり舐めたりしながら、宙ぶらりんな私の手をとり押し付けていたそれに触れさせた。どうやったらいいのか分からなかったが、今やめたら写真を撮られてしまうと自分に言い訳をして熱くてハリのあるそれをたどたどしく数回撫でた。それだけで彼は、私の口の中で「ぐっ、」だとか「うぁっ」だとか声を漏らしていたから、そのまま、先端を指先でくるくる撫でたり、引っ掛かりのある部分をつまんだり、幹を握ってしごいてみたりと必死で触れた。
「っあー…、慣れてんな。やっぱ頻繁にしてんだろ?」
唇を離した彼の眼は、とろけて見えるのに奥の方でぎらついて責めるように私を見る。その問いに横に首を振る私が、彼の熱っぽく厭らしい視線から目をそらすよりも早く、備え付けのゆったり座れるキャスター椅子に、下半身をむき出しにしたまま腰かけ上を仰ぐ陰茎の上に私の体を貫くように座らせた。自身の体重いっぱいに力がかかって膣の天井をこれでもかというほど押し上げ内臓を圧迫するそれに、目の前がちかちか点滅する。彼は、肩にしがみついて少しだって動けない様子の私の腰を押さえつけて、奥をえぐる。腹を突き破るのではないかという恐怖は、苦痛の前では小さなことだった。
「あん?もっと動けよ。」
「ひぁっ、むりっ、むりぃっ、」
「あー…かわい、っじゃねぇや、ハメ撮り嫌なんだろ?何でもするっつったんだから頑張れよ」
“ハメ撮り”という言葉に背がすぅっと冷えて、すぐ近くで笑う男の表情は嫌に楽しげで艶っぽい。有無を言わさぬ言い方に、私は泣く泣く悲鳴を上げる体に鞭打って椅子に膝立ちになり、腰を上下に動かす。自分で揺れ始めた私を見て、腰から手をどけ今度はセーラー服に手をかけてまくり上げた。デコルテのあたりまで捲られたそれを「脱げよ。」と低い声で言われるものだから、中に居る禊にいっぱいいっぱいになりながらも袖から腕を抜いて、木目柄の床に落とす。キャミソールとブラジャーの肩紐に手をかけてそれらを腰までずりおろすと、露になった胸のまわりをなぞって、律動で揺れるあまり大きくない膨らみの形を確かめるようにやわく触れ、少し私の上体を反らせて腫れ上がった乳頭をぱっくりと口に含んで舌先で転がしたり歯で挟んで引っ張ったりして弄ぶ。乳輪をなぞったり、震える細やかな下乳を涎まみれにされて、そこがスースーと冷えて感じた。
「乳首こんなにして、ちっちぇーのにやらしいおっぱいじゃんよ」
「あぁ…ッッかまないでっ、へんになるのっ、」
「もうなってんだろ。知らねぇ男にぶち犯されながらアンアン喘いでんだぞお前っ…!」
嘲るように吐き捨てて、声を枯らして泣く私の脇に手を入れて立ち上がり、デスクの上に座らせてキーボードを雑に寄せてできたスペースに上体を倒した。だらしなくデスクのへりからぶらさがる足を開いてその間に体を割り込ませ、秘豆を数回擦ってからゆっくりと禊を埋める。先ほどと変わって激しさこそないが深く突きたて抉るような律動に、また掠れた喘ぎ声が漏れてこめかみを涙が濡らした。腰の動きに合わせて壊れた玩具のように音を上げる私が面白いのか、腰の動きを速めながらフーフーと野を駆けてきた犬のように息をつき、笑っているのに時折苦しそうな声をもらす彼がとても怖くて、厭らしくて、膣がきゅうと締まった。紺のハイソックスに包まれたふくらはぎを掴む手に力が入って、中にいる陰茎がさらにびくりと脈打ち更に奥へ侵入しようと急く。
「うぁぁっッ、あっ、そこぉっ、」
「処女なのに、よだれ垂らして泣きながら感じてんなら、っそっちの方が問題あるんじゃねぇのかよ、ッあ゛」
吐息交じりその言葉が脳髄を揺らす。全くその通りだった。淑女たれ、と教育され、立派な女性として、学校でも屈指の優等生として生活してきたはずなのに、あられもない姿を野蛮な男にさらして腹を抉られ犯され、あまつさえ悦に浸っているのだから。
「ああっ、あっ私、いい子なのにっ、」
「はッ、いい子はこんな事しねぇだろ。天性の淫乱だよテメーは」
「ちがっ、はあ、っぁあ、」
「あ゛ァッ…お前、締めんなッ…痙攣してるしさぁ、そろそろイキたいんじゃねーかあッ?」
問いの形を取っているのに私が答える隙も与えず、目の色を変えて一心不乱に腰を打ち付ける。上体を折って覆いかぶさった瞬間に、悪趣味な球とサイコロでできた髪飾りがチャリと揺れ、先の房が腹を掠めて大げさに体が跳ねた。あまりにも強く子宮口を突き上げて絶頂を求めるから、そのまま子宮をこじ開けられてしまったのではないかと馬鹿な錯覚をした。横たわる私の両脇に手をついて人魚みたいに腰を振って私を揺さぶる。彼の気性は荒いから、鯱なのかもしれない。まさに今行われている行為は、可哀そうな私を散々弄んでから、最後にぱくりと捕食してしまう帝王のそれだ。呻きと吐息と、いっそう早まる抽送が、射精が近いことを予感させる。きっと、私の膣が彼を締め上げているのがいけないのだろう。
「出る、ッ」
「やめて、なか、なかやだ、やだァ…ッ」
「ッ…アァ?聞こえねーよ…!」
「やだああ…っ」
抵抗も虚しく、彼は私の中でビクビクと脈打ち精を吐く。私はと言うと、つま先を張り詰めて身を震わせ押し寄せた快感の波にのまれ、視界に火花を散らしていた。ずるりと抜け出た刺激にすら、身体が快楽と捉え大きく跳ねた。ひゅーひゅーと息を吐き、虚ろな視線を空を彷徨わせる私に反し、デスクの上のティッシュを数枚取って精液がたっぷり溜まったラテックスを外すと、彼、基帝統君は私を見て言った。
「はぁ、はぁっ、あー…あの、名前ちゃん大丈夫かよ…」
「ぁ、ん…まだ入ってる感じがする、」
「やめとけって言ったじゃんか…痛いとこ無ぇ?」
「、机硬くて腰痛い…」
「だから言ったろってー!」
ため息をつきながら愛液で濡れそぼった私の秘部をティッシュで優しく拭き取って、足首を抜けて床に落ちていたショーツを軽く払って私に履かせる。浅い息を繰り返す私を抱き上げ、自分は椅子の上に座ってその膝に私を乗せ、汗でしっとりした髪の毛に何度もキスを落とした。
「名前ちゃぁん…」
「ん、あはは…!帝統、可愛いね。猫みたい」
「笑い事じゃねーよ…。髪引っ張ってごめんな。痛かったろ」
「私がそうしてって言ったんだもん。いいんだよ。むしろ、私の言うこと聞けて偉いね」
頭上に手を翳せば、その間に潜り込むように頭をいれて愛撫を受け入れる。そう、彼は今日も完璧に私の"設定"をこなしてみせたのだ。
有栖川帝統と私は、秘密裏に交際関係にある。とは言っても、まだ三月ほどの付き合いでお互いのことを深くは知らない。私の初めてのキスを奪ったのは彼だし、蕾を暴いたのも彼で間違いない。しかしそれは今日では無い。型にはめられ、レールを撫でるだけの人生は理想的であったがその分欲求をどんどん濃縮させていった。小学生の頃に自慰を覚え、誰にも見つからないようにアダルトコンテンツを覗き見て興奮する少女は、大人の身体と機会を得て、その性の才能を開花させたのだ。普段は私がシブヤへ足を運び、ホテルや路地裏、雑木林などで事に及ぶのだが、丁度よく彼がディビジョンズバトルの為、ここ中王区へ来ることとなり、此度のままごとが実現したのである。
「帝統、キスして」
耳を舐めていた彼に言えば、嬉しそうに笑って私に口づけを贈る。先程とはうってかわって愛おしそうに、大事そうに舐めたり吸ったりするものだからなんだか擽ったくていきが漏れてしまった。
「どうだったよ、今日のは」
「…すごく興奮した。次はどんなのがいいかな?」
まだまだ尽きることを知らない私のアイデアを想像したのか、彼は困ったように笑って床に落ちたパンツを拾い上げていた。