またね。と手を振って店を後にした雫さんを見送ってから、彼女の事を思い返した。
降谷雫と名乗る彼女は確かに兄の名前を降谷零と言った。
もしやと思ったがまさか本当に安室さん、降谷零の妹だったとは。
…いや、でも外見的特徴としては似てるとは言えないし、名前が同じなだけということもある。
安室とは違った、少し青白い肌に黒髪…染めてる可能性もあるが瞳の色は髪と同じ黒。
顔の作りも兄妹というには共通点は見つからないし、真相は本人に確認するしかないだろう。
それに、何年も会えてないと言う姿は、兄に会いたいと言っているようにも見えた。
けれど安室さんは今組織に潜入している身でもあるし、あえて側を離れたって可能性もあるから迂闊に知ってるとは言えないし…

「ねぇ梓さん、安室さんって今日は来るの?」
「ええ、安室さんなら今日は午後からはいってるけど…」
「そっか、ありがと!また来るね!」

今日は午前で学校も終わるし、直接聞いてみるか。
パラパラと捲った本は何度も読み返して居るのかヨレヨレで、毎日持ち歩いてることがよくわかる。
本当に大切にしているんだな。
そんな本を繋がりをつくるための口実に借りちまったのは少しばかし悪かったか。
でもなんとなく、公安の降谷零の妹かもしれないって謎が浮かんだら、はっきりさせたくなるのが探偵だ。
ごめん、雫さん。と心の中で謝罪をして、おっちゃんと蘭と共に店を出た。





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