小さな紙袋を渡して去っていった降谷先輩。
あの人思ってたよりいい人なのかもしれない。
…絆創膏の件は触れられると思ってなかったから焦ったけど、なんとか誤魔化せたようで安心した。
兄は普段は目につく場所は絶対に傷をつけないが、昨日の件は相当気に食わなかったんだろう。
傷は浅いし絆創膏も角度によっては見えない位置で目立たないから、誤魔化すにも簡単でよかった。

「おはよう」
「おはよ。あら、その紙袋どうしたの?」

教室にはいって早々、降谷先輩から貰った紙袋に眼ざとく気付いて指摘をする友人。

「ご主人様からテストのご褒美もらった」

わざと嫌味を込めて言ったのに、友人は相手が誰か直ぐに分かったのか楽しそうに笑っていた。
いや笑い事じゃないから。
私の人権無視されてるから。

「女子高生に人気のブランドの紙袋って…あの人意外とそういうの気にするのね」
「これブランドだったんだ…ちょっと悪いことしたな」
「あんたってほんっと洒落っ気ないわね」
「うるさいなぁもう」
「はいはい、ごめんなさい。それで?何貰ったの?」

友人の言葉を聞き流しながら袋を開けると、中から出てきたのはシンプルなネックレスだった。

「あら、センスいいじゃない」
「…首輪」
「え?」
「いや、なんでもない」

真ん中に綺麗なブルーの石が嵌め込まれたそれは、まるで先輩の目の色のようだと思ったのだから私の忠犬の名も強ち間違いでは無かったらしい。

「うち校則ゆるいし着けたら?」
「…うん、そうする」

プレゼント貰って嬉しかったのは事実だし、洒落っ気もない私の初のアクセサリーなのだから着けないのももったい無いだろう。
友人の手を借りながら初めて着けたネックレスは、少しくすぐったい気持ちになる。

「似合ってるわよ」
「ありがとう」

ところでなんで皆私の頭をやたらと撫でるんです?
ますます犬かが進んでいる気がしてならない。








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