「久しぶりにバーバラと組めたな」
「やった、スコッチとだ!」
「そんなに喜んでくれるとはお兄ちゃん嬉しいぞ〜?」
あれからというもの、バーボンは変わらないがスコッチはやたら兄貴分を主張するようになっていた。
わしゃわしゃと撫でる手は相変わらずで、今回も私の髪型を崩してくれやがりました。
いい加減ムツゴロウさんのような撫で方は辞めてほしい…あ、もしかして私が犬だからか?忠犬だからか?
「そういえばご褒美やるって話前にバーボンとしてただろ?」
「うん、あの言葉だけでもうれしかったよ」
「大分経っちまって悪かったな。バーボンはまた大分悩んでたみたいだし、まだ掛かるかも知れないから、先にスコッチお兄ちゃんからのご褒美だ!」
そう言って片手運転をしだしたスコッチは、自分が警察であることを忘れてるんじゃないかと思うくらい自然な動作で後部座席の足元を探り始めた。
「ねぇ、危ないって。私探すよ?」
「ダメダメ。お兄ちゃんから手渡しすることに意味があるんだから」
「それ今じゃないと駄目かなぁ!?片手運転あぶないって!」
「大丈夫大丈夫…っと、こっちに動いてたか」
ねぇ前向いてお願いよそ見運転とかクソ怖いんだけどお兄ちゃん。
漸くプレゼントを探し当てたらしいスコッチに手渡されたのは、A4サイズくらいのラッピングされた袋だった。
「ほら、スコッチお兄ちゃんからのご褒美だ」
「ありがとうお兄ちゃん!」
「おう、よしよしバーバラはお礼が言えて偉いなぁ」
「ねぇこれ妹扱いでいいんだよね?犬じゃないよね?」
「…まぁ、そこは、な?」
「おいこら誤魔化すなこっち向け」
「お兄ちゃん運転してるんだから無茶言うなよな」
なんでだよ!さっき片手運転とよそ見運転してたじゃん!
私の周りは理不尽な奴しかいないのかよ!!
「そんなことより開けてみ?」
赤いリボンを解いて中を覗き込めば、真っ先に目に入ったビーフジャーキー。
「…ねえ」
「ブハッ、ふ、ははっ!ごめんて。思った通りの反応すぎて…っふ」
「笑いすぎですけど?」
やっぱり犬じゃねーか!
取り出したビーフジャーキーに叫べば、今度はもっと奥を見ろと言われる。
「…お酒?」
「そ、お前があんまり酒慣れてないような話をライから聞いて、ならお兄ちゃんのコードネームのお酒あげようかなって」
「ねぇその話の時にライなんて言ってた?」
「お前が初めてのバーで挙動不振になってる姿はまるで迷子の仔犬みたいだったってよ」
「野郎、好き放題言いやがって」
笑いながら話す姿が浮かぶところがまた腹立たしい。
「飲み友達だろ?」
「たまに連れてって貰うくらいだけどね」
「バーバラがお兄ちゃん達に内緒で大怪我負った時もライが面倒見てくれたんだっけな。大丈夫だったか?」
遠ましなボロ出してないかの確認にへらへら笑って頷いてみせる。
「大丈夫だったから此処に居るんですー」
「そりゃそうか…お前が無事でほんと安心したよ」
「お兄ちゃんは心配性ですね」
「もう一人のお兄ちゃんも心配性だからあんまり無茶してくれるなよ」
スコッチと話して居ると、もし兄がいたらこんな感じなのかな?と思うくらい、居心地がいい。
ずぶずぶと底なし沼に沈んでいくような感覚が、スコッチと話して居ると引き上げられるような感覚になる。
「私お兄ちゃん達が居なかったらきっと耐え切れなかっただろうから、ありがとうお兄ちゃん」
「おう、いつでも頼れよ?」
「お兄ちゃんもいつでも頼ってね」
「頼り甲斐のある妹で何より。そん時は頼んだぞ?」
「勿論」
まだまだ兄貴分達の背中は遠いけれど、私も支えられるくらいしっかりしなくては。
スコッチやバーボン、ライは三人で行動することが多く、その役割は見張りや運搬、ターゲットを誘導したり調査に行ったりと情報に関する仕事が多い。
一方の私は殆どがターゲットの殺害等の仕事ばかりだから二人とは違った角度で組織に深く入り込める。
「あんまり溜め込むなよ」
見張りをする為にスコッチと別行動にうつる瞬間、投げかけられた言葉。
やっぱりお兄ちゃんには敵わないらしい。
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