あなたの為のクリスマス・プディング
《ドラルク》
仕事が終わったらそのままドラルクさんのお城(事務所)に行き、吸血チャレンジに撃沈し、流れで夜ご飯をご馳走になるのがルーティンとなりつつある。あ、もちろん夕飯代はお支払いしています。
「今日もとても美味しかったです」
「はい、お粗末さまでした」
食後のお茶をいただきながらほう、と息を吐く。ドラルクさんが自分用のホットミルクを持って向かいの席についた。
「明日はプディングだよ」
「えっ」
捲っていた袖をくるくる直しながら伝えられた言葉に、引き攣った声が漏れる。ドラルクさんは不思議そうに首を傾げた。
「そ、それってあの、まさか先月終わりに一緒に仕込みをした……?」
「うん、元々明日のクリスマス用にって作ったやつだし」
「ア、ア、すみませ、あの私明日の夜は予定がありまして……!」
「……は⁈」
驚愕する彼にもう一度謝罪を口にする。明日は独り身の友達数人と、一緒に飲み会の予定を立てていた。
「な、なんで? なんで入れちゃったの⁈」
「だ、だってクリスマスに食べるなんて思ってなかったので……!」
「プディングなんてクリスマスにしか食わんだろ!」
くわっと恐ろしい剣幕で怒鳴られウエーンと泣きそうになる。そんな常識知らないよぉ。アイムジャパニーズ……。
「だいたい、私はてっきり――……ウソなんでもない今のナシ」
「なんですかそんな意味深に……」
含みのある言い方に慄く。だって今のドラルクさんは明らかに、吸血鬼なんでもあるおじさんだ。真意を掴むために見つめれば、ドラルクさんは気まずげにそっぽを向いた。
「いや、その……私は……」
「私は?」
「だから、明日……、……アー! やーめた! はいこの話はもうお終い! プディングならとっておいてあげるから、明日は私の事なんて忘れて心ゆくまで存っ分に楽しんで来るがいいわ!」
「な、なんですかなにをそんなに怒ってるんですか⁈」
「うるさい朴念仁め」
「朴念仁⁈」
なんでよぉと泣き縋っても、ドラルクさんは不機嫌な顔でミルクを啜るばかりだった。
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