セロリギの下で
《ロナルド》
視界を占める鮮やかな緑。青々とした臭い。
クリスマスイブ。デートのために訪れたロナルドさんの事務所は、天井からぶら下がったセロリで埋め尽くされていた。なぜ……いや、どうせ半田さんだろう。
少し呆れながら目線を流し、事務所の一角、セロリに触れないよう、饅頭みたいに丸まり頭を抱えて床で震えているロナルドさんを見つける。慌てて近寄るさり、大丈夫ですかと膝をついた。ロナルドさんは、蚊の鳴くような声で私の名前を呼び、涙でべしょべしょの顔で私を見上げる。
「う、半、セロ、はんせ、はロだ、はんセ、セ……!」
「ロナルドさん、これはヤドリギです」
「セロリギ……?」
「ヤドリギ。知ってますか?」
彼はふる、と緩慢に首を振った。そんなロナルドさんの頬を両手で包み、顔を近付ける。
「セッッッ⁈」
「ヤドリギの下では、キスしていいんですよ」
私はそう笑ってから「もう一度しますか?」と訊ねる。彼は真っ赤な顔で「セ……」と呟き、こくんと小さく頷いた。
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